種子島宇宙センターについての最新情報、関連する画像や動画を紹介。(出典:Wikipedia)
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種子島宇宙センター(たねがしまうちゅうセンター)は、宇宙航空研究開発機構 (JAXA)が鹿児島県種子島に設置し運用している、大型ロケットの射場(宇宙センター)である。略称はTNSC。TSCと呼ばないのは、同じJAXAの筑波宇宙センター(TKSC)と区別するためである。
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概要
ウオッちず Google Map 種子島宇宙センター
種子島宇宙センターは、1969年(昭和44年)10月、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の前身、宇宙開発事業団 (NASDA) の設立時に開設された。面積は8.64平方キロメートル。現在はJAXAが保有しており、内之浦宇宙観測所でのM-Vロケット打ち上げが終了した2006年(平成18年)以後、日本の衛星打ち上げ用ロケットは全てここから打ち上げられている。
種子島宇宙センターは種子島の南、太平洋側にある南種子町の竹崎と吉信崎に囲まれた湾に面した土地に施設が点在しており、三つのロケット発射施設(JAXAの用語では射場)をもつ。また種子島島内に数ヶ所の観測所を設けている。
ロケットの打ち上げは赤道に近いほど有利になるが、種子島は日本最南端とはいえない位置にある。にもかかわらず種子島が選ばれたのは、1968年(昭和43年)当時は沖縄は返還されておらず、小笠原も同年に返還されたばかりで、計画当時は間に合わなかったためである。なお、小笠原は種子島の東南東に位置し、種子島から打ち上げられたロケットの追跡に好適であるため、父島に追跡施設が設置されている。
「世界一美しいロケット基地」とも言われる。世界的には広大な原野に発射台等の施設を点在させることが多い中で、種子島宇宙センターは緑の山の中に施設が点在し、発射台はサンゴ礁に囲まれた岬の突端近くに設置されており、その絶景を誇って呼ばれたものである。
なお、JAXAと周辺海域で操業している各県の漁業協同組合の協定により、種子島宇宙センターからの発射時期は制限されている。原則として、夏は7月22日から9月30日の71日間、冬は1月1日から2月28日の59日間が打ち上げ可能との制限がある。また、予備期間として、5月~6月と11月~12月は別枠に60日間の期間を設定できる。よって、年間最大190日間に制限されている。
主なロケット打ち上げ実績
- Jシリーズ - 1型
- Nシリーズ - 1型, 2型
- Hシリーズ - 1型, 2型, 2A型, 2B型
施設
大崎射場
大崎射場は、実用ロケットの打ち上げを目的として開設された、種子島宇宙センターの中核施設である。NASDA初の実用ロケットであるN-Iロケット以降、デルタロケットを基本としたロケットは大崎射点で打ち上げられた。大型で基本設計もまったく異なるH-IIロケット以降は、新設された吉信射点を使用している。また大崎射点はJ-Iロケットに使用されたほか、GXロケットの打ち上げに使用する案もある。
吉信射点
H-IIAロケットおよびH-IIBロケットの打ち上げ施設であり、二つの発射台(JAXAの用語では射点)と、関連施設を持つ。H-IIロケットの開発に合わせて整備され、H-IIAの開発の際に拡張された。H-IIBロケットにも使用されているが、H-IIAとの共通性が高いため設備の改造は最小限にとどまる。J-Iロケット2号機の打ち上げに使用することが予定されていたが、J-Iロケットが宇宙開発委員会の宇宙開発計画見直しに伴い開発凍結となったため、計画中止された。
H-IIより前のロケットがいずれもデルタ2ロケットを基本としており1段目がほぼ共通で全体の寸法にも大差なかったのに対し、H-IIは完全新規設計で寸法もはるかに大きいため、あらゆる施設が新規に建設された。H-IIAはH-IIと同規模のロケットであるため、施設全体のレイアウトは大きく変更されることなく流用されたが、個々の施設は大幅な改修を受けている。
- 第1射点 (LP-1)
H-II用に建設された射点で、後にH-IIAに合わせて大幅な改造を受けた。
H-IIは、後述のVABで組み立てられる際には衛星を搭載せず、第1射点へ移動してから搭載する。このためH-IIは射点に長期間とどまり、衛星搭載作業を行うほか、多少の不具合は射点で補修しなければならない。そこで、射点には射座点検塔(PST)が設けられ、観音開き式の扉で機体をすっぽりと覆う構造になっていた。上部には、衛星を吊り上げてロケットに搭載する設備が設けられており、HOPEなどの大型ペイロードにも対応していた。ロケットに推進剤を供給する配管や電力・信号のケーブル(アンビリカル)は、PSTから直接ロケットに接続する構造だった。
H-IIAでは、VABでロケットに衛星を搭載する方式に改められたこと、アンビリカルの接続が移動発射台を介して行われるようになったこと、ロケットは打ち上げ直前にVABから射点に移動し問題発生時はVABへ戻して整備するようになったことから、PSTは全く不要になった。代わって、気象観測と避雷針の役を負う塔が2基設置された。PSTは扉だけが撤去され、塔本体は残っているが、これは単に「さしあたって邪魔ではないから」であり、撤去予算の優先順位が低く放置されているだけのことである。またロケットを打ち上げた際に固体ロケットブースターの影響でPSTの塔がこげ、見た目が良くないため毎回打上後には必ずペンキの塗りなおしを行っている。
現在は、H-IIAの202、2022、2024、204の各型の打ち上げに使用されている。
- 第2射点 (LP-2)
H-IIAの開発に合わせて、新たに増設された。当初からPSTが設置されていないため、シンプルな外観になっている。H-IIAの開発時に計画されていた増強型(212、222型)に対応した設備だが、これらは開発が中止され、代わって改修を行った上でH-IIBに使用されている。2009年(平成21年)9月11日にH-IIB試験機1号機を打ち上げ、これが第2射点の最初の使用となった。H-IIAは、15号機まで使用したことはない。
- 大型ロケット組立棟 (VAB)
工場から搬入されたロケットを、移動発射台上に組み立てて整備する施設。当初はH-IIを1機整備できる構造だったが、H-IIAの開発に合わせて北側へ増築し、2機同時に整備できるようになった。
H-IIは、VABで組み立てられると衛星を搭載せずにPSTへ移動するため、空いたVABで次の機体の組立が可能だった。H-IIAは衛星搭載も含め打ち上げ前日までVABで整備を行う方式に改められたため、2機連続で打ち上げを行う際にはVABに2機格納する必要が生じ、増築されたのである。実際に、H-IIA8号機と9号機はVABで2機並んで整備され、わずか25日の間隔で打ち上げることができた。
ロケットの最大の部品である1段目は、山側の低層部に専用コンテナごと搬入され開梱される。先端を海側の高層部で吊り上げられて起立し、移動発射台上に据え付けられる。この手順が、低層部と高層部からなるVABの独特のシルエットを決定している。
VAB内には跳ね上げ式の床が多数あり、組み立てたロケットの周囲に足場を作ることができる。南側のVAB1の床板には、H-IIA212・222型のLRBに対応した穴が空けられており、結果として204型のSRBにも対応している。北側のVAB2にはこの穴がないため、204型には対応できない。また、どちらもH-IIBの直径5.2mの1段目は想定していない。そこで、VAB2の床板をH-IIB対応仕様に改修することになった。
- 大型ロケット移動発射台 (ML)
日本国内では唯一のロケット移動型発射台である。発射台を移動する方式のメリットは、組立棟と射点を分離することで、複数のロケットを流れ作業で運用できる点である。打ち上げ間隔を短縮できるメリットがあり、スペースシャトルなどにも採用されているが、全体に施設が大掛かりでコスト高になりやすいデメリットもある。
H-II用に、2台のMLが用意された。このときのMLは鉄道のような車輪を備えたもので、VABとPSTの間にはレールが敷かれていた。MLの上面にはH-IIのSRBを固定する台座が設けられた。2台目(ML2)はH-II増強型の打ち上げに対応してSRBの台座が6基設けられていたが、この用途で使用されることはなかった。
H-IIA開発に合わせて、MLの改造が行われた。車輪とレールによる移動をやめ、ドーリーと呼ばれる超大型貨物移動車(多数のゴムタイヤを備えた台車)で運搬することにした。ML1は上部にH型の大きな塔を建て、H-IIAの2段目やフェアリングとアンビリカルを接続できるようにした。これにより、H-IIAはVAB内でアンビリカルを接続してから移動することができ、射点での作業を削減することができるようになった。また、H-IIはSRBをMLに固定していたのに対して、H-IIAは1段目を固定する構造であり、MLも改造された。
ML2は、J-Iロケット2号機に合わせて改造されたが、J-Iの開発が打ち切られたため使われなかった。さらに、H-IIA212・222型に対応可能なML3が追加製造され、後にH-IIB用に対応するための改造が行われた。
- 大型ロケット発射管制棟 (ブロックハウス)
打ち上げ指令及び爆破指令が行われる管制施設。また、8角形の建物に8角錐の屋根が乗った形状から、夢殿の異名も持つ。万一、ロケットが爆発した場合は直接巻き込まれる位置であり、窓のない頑丈なコンクリートの建物に金庫室のような分厚い扉が設けられている。
打ち上げ準備期間は、作業進行の管理を実施する。打ち上げ時には、打ち上げカウントダウンやテレメータセンターとの間での交信、2段目の燃焼が終わるまでの指令管制を行い、筑波宇宙センターや相模原深宇宙管制センターに引き継ぐ。
大崎射点
大崎射点は中型ロケットの発射場で、N-IからH-Iまでの中型ロケットと、小型衛星用のJ-Iの打ち上げに使用されたが、以後は使用されていない。開発中のGXロケットはここから打ち上げる計画だが、アメリカのバンデンバーグ空軍基地を使用する案もあり、確定していない。なお、N-Iロケット開発時に吉信射点の位置ではなくこの場所を選んだのは、将来の大型ロケット開発に備えて最良の場所を空けておいたためである。
射点以外の設備
- 液体エンジン試験場
吉信射点に併設された液体エンジン試験場で、LE-7エンジンやLE-7Aエンジンの地上燃焼試験に使用する。開発時のほか、フライトに使用するエンジンの領収試験にも使用している。
- 衛星組立試験棟 (STA)
筑波宇宙センターや宇宙科学研究本部、日本国外の衛星組立施設で調整が行われた衛星本体の、打ち上げ前最終調整試験を行う施設。H-II、H-IIA、H-IIBの衛星には、大型の第2衛星組立試験棟が使われる。
- 衛星フェアリング組立棟 (SFA)
衛星フェアリングとは、ロケットが大気圏内を高速で飛行する際に、衛星を保護するための覆いのことである。H-IIの場合、衛星はここでフェアリング内に格納され、フェアリングをコンテナ代わりにして射点のPSTへ運ばれて、ロケットに搭載された。H-IIA、H-IIBの場合は、同様にしてVABへ運ばれ、ロケットに搭載される。
竹崎射場
小型ロケットの打ち上げ施設であり、LS-CやJCRなど初期の実験用ロケット、H-IIの開発に使われたTR-Iロケット、微小重力実験用のTR-IAロケットの打ち上げに使用された。
射場以外の施設
- 広田光学観測所
天体望遠鏡と固体撮像素子を搭載したシュミットカメラによって、打ち上げ後のロケットを追跡する施設。なお、人工衛星の軌道の状況の確認もあわせて実施する。
- 固体ロケット試験場
SRB(固体燃料ロケットブースター)の地上燃焼試験施設。H-II開発時に建設された。その後、H-IIAのSRB-Aや、改良型のSRB-A2などの開発にも使用されている。
- 総合指令棟 (RCC)
打ち上げ管制センター。ロケットの組み立て準備作業から、発射台への移動。打ち上げ指令、最悪の場合の爆破指令などを行う。ロケットが最終燃焼を終えて軌道投入が終わると、筑波宇宙センターに管制指令が移る。
- 宇宙科学技術館
宇宙科学技術に関する一般向けの資料展示館で、竹崎地区の南端、センター正門直近に位置している。年末年始を除いて開館している。
- 竹崎観望台
競技場のようなひな壇型の観望席と、トイレ等の各種設備を備えた展望施設で、報道機関や大臣等の来賓が打ち上げを見る際に使用する。宇宙科学技術館のさらに海側に位置する。
- 門倉光学観測所
天体望遠鏡と固体撮像素子を搭載したシュミットカメラによって、打ち上げ後の人工衛星を追跡する施設。広田光学観測所よりも大型の観測装置によって、人工衛星軌道の確定を行うための光学観測を行う。
- 宇宙ヶ丘追跡所
ロケットのテレメータデータ(機器の動作状況やセンサーの値を伝える信号)を受信したり、ロケットをレーダーで追跡する施設。
- 増田宇宙通信所
種子島の中ほど、中種子町にある衛星管制施設。目標衛星軌道投入までは種子島宇宙センターと共同で、衛星軌道投入後は筑波宇宙センターの元で、沖縄宇宙通信所や勝浦宇宙通信所と共に管制業務を行っている。
所在地
- 増田宇宙通信所
- 鹿児島県熊毛郡中種子町増田1897
関連項目
軌道投入後の運用管制センタ
固体ロケット関連の射場
外部リンク
- 種子島宇宙センター (JAXA内)
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