紫雲 (航空機)についての最新情報、関連する画像や動画を紹介。(出典:Wikipedia)
こんなキーワードで検索されてます
こんなキーワードで検索されてます
紫雲(しうん)は、第二次世界大戦中の日本海軍の水上偵察機である。機体略番はE15K。連合国軍によるコードネームは“Norm”。敵戦闘機の制空権下でも強行偵察が可能な高速水上偵察機として開発され、高速性を実現させるため二重反転プロペラの採用等、様々な新機軸を盛り込んだ野心的な機体であった。昭和18年(1943年)8月に二式高速度水上偵察機紫雲11型として制式採用されたが、運用上の問題も多くごく少数の生産で終わった。
開発経緯と運用
昭和14年(1939年)、海軍は敵戦闘機の制空権下でも強行偵察が可能な高速水上偵察機の試作を川西航空機に指示した。十四試高速偵察機と称された本機に対する海軍の一番の要求は、水上機でありながら戦闘機より早い機体ということだった。
これに対して川西は、高速性能を得るため当時利用可能な様々な新機軸を盛り込むことで、高速水上偵察機を実現しようとした。新機軸の主なものは、
- 当時最大出力をもつ実用発動機火星を装備し、その大馬力によるトルクの影響を吸収して性能を十二分に引き出すため日本最初の二重反転式プロペラを採用。
- 空気抵抗軽減のため、胴体下の主フロートの緊急時の落下装置の配備。
- 翼端の補助フロートは上半分がズック製の気嚢式とし、収納の時には空気を抜いて内側に密着させる半引き込式。
- 主翼は層流翼を使用
などである。また、機体は全金属製で、油圧式二重フラップ装備、翼は艦上での格納も考えて翼端部分が上方に折りたためるようになっていた。
翌年試作開始された強風においても火星や層流翼が採用され、また二重反転プロペラは試作時に、引込み式補助フロートは企画段階で検討されており、同時期に設計された紫雲の影響が見られる。
試作第一号機は昭和16年(1941年)12月に初飛行したが、多くの新機構を試みた機体だけにフラップの故障、翼端の補助浮舟の作動不良など事故が続発し、またその間、発動機の換装、尾部下面にフインの取り付けなど機体にも長期にわたって改修が行われた結果、昭和17年(1942年)10月にようやく海軍に納入された。なお、本機の売りでもあった主フロートの緊急時の落下装置は、風洞実験と地上実験のみしか行われず、空中投下実験は行われなかった(ある意味当たり前であるが)。海軍において飛行審査を行った結果は、最高速度は468 km/hで敵戦闘機よりも遅く、各部に故障が多いなど問題の多い機体であることが判明した。しかし海軍は、航空巡洋艦ともいえる、軽巡大淀級に搭載する強行偵察機、二式高速度水上偵察機として採用を内定し、先に領収した試作機1機(試作1号機は事故で大破)、増加試作機2機に続き増加試作機を4機発注した。
昭和18年(1943年)8月に二式高速度水上偵察機紫雲11型として制式採用され、実用試験のため6機が軽巡大淀に搭載されトラック島方面に進出した他、昭和19年(1944年)6月にはパラオ島のアラカベサン水上基地に配備され索敵偵察や哨戒任務に使用された。しかし補助フロート折損による横転事故や、二重反転プロペラの故障が多発、主フロートの飛行中の落下がうまくいかないなどで敵機より逃亡できず、3ヶ月程の短期間で全機喪失とする資料が多い。しかし実際にアラカベサン水上基地に進出できた紫雲は3機のみであり、またフロートの投下は行わなかっただけで不具合があったわけではなく、対潜哨戒任務に出て敵機に追われた機は被弾しつつも生還したことが記録されている。
実用試験での惨状から、本機は制式採用機にも関わらず昭和18年に5機、19年に2機量産機が製作された後生産は中止された(当初は17機量産予定だったといわれる)。総生産機数は、試作機、増加試作機を含めて15機であった。その後戦局が緊迫したため、本機の改良型の計画も行われなかった。当初予定していた軽巡大淀への搭載も、実用試験時のごく短期間しか実現しなかった。
性能
- 全長: 11.588 m
- 全幅: 14.00 m
- 全高: 4.95 m
- 主翼面積: 30.00 m²
- プロペラ: H/S定速2翅反転
- 全装備重量: 4,100 kg
- 最高速度: 468 km/h
- 乗員: 2名
- 発動機: 三菱火星24型 出力1,680馬力
- 航続距離: 1,408 km
- 実用上昇限度: 9,830 m
- 武装: 7.7 mm機銃 × 1、60 kg爆弾 × 2
その他
機名の紫雲には、文字通りの「紫色の雲」という意味の他に、あろうことか「仏教徒の臨終の際に仏が乗って迎えに来る(来迎)雲」という意味もある。また、紫が死に通じるとして、当時は「縁起でもない」との批判もあった。
| 大日本帝国海軍の航空機 | |
|---|---|
| 艦上戦闘機 | 1MF - A1N - A2N - (A3M/N) - 九〇式練習戦闘機 - (八試) - A4N - A5M(九試)/A5M4-K - A6M(派生型)/A6M2-N/A6M2-K - A7M/A7He - A8V AXB - D.500 (航空機) - AXG - AXH - AXHe - AXV |
| 艦上攻撃機 | 一〇式 - B1M - B2M - B3Y - 九試艦上攻撃機/九試艦上攻撃機/B4Y - B5M/B5N - B6N - B7A ノースロップ ガンマ |
| 艦上偵察機 | C1M - C2N - C3N - 13試高速陸上偵察機 - C5M - C6N CXP |
| 艦上爆撃機 | D1A1/D1A2 - 八試特殊爆撃機/八試特殊爆撃機 - D3A/D3N/D3Y - D4Y - D5Y DXD - DXHe |
| 水上偵察機 | モ式小型 - モ式大型 - 横廠式ロ号 - ハンザ式 - 二式 - E1Y - E2N - E3A - E4N - E5K/E5Y - 九一式水上偵察機 - E7K - 八試水上偵察機/八試水上偵察機/E8N - E9W - E10A/九試夜間偵察機 - E11A/E11K - E12A/E12K/E12N - E13A/E13K - 十二試小型水上偵察機/E14Y - E15K - E16A |
| 水上観測機 | 十試水上観測機 (川西航空機)/F1M/F1A |
| 陸上攻撃機 | G1M/八試特殊偵察機 - G2H - G3M - G4M - G5M - G6M - G7M - G8N - G9K - G10N |
| 飛行艇 | F.5 - 一五式飛行艇 - 八九式飛行艇 - H3H/H3K - H4H - H5Y - H6K - H7Y - H8K - H9A - 十四試中型飛行艇 - H11K-L P2Y (航空機) - DF (航空機) - ポテ 452 |
| 陸上戦闘機 | J1N - J2M - J3K - J4M - J5N - J6K - J7W - J8M - J9Y |
| 練習機 | 横廠式イ号 - アブロ式 - K1Y - 三式練習機 - K3M - K4Y - 九一式中間練習機/K5Y - 一一試水上中間練習機/一一試水上中間練習機 - K7M - 零式水上初歩練習機/十二試水上初歩練習機/十二試水上初歩練習機 - K9W - K10W - K11W NA-16 (航空機) - KXBu - コードロン C.600 - A50 (航空機) - KXL |
| 輸送機 | L1N - L2D - 九六式陸上輸送機 - L4M - L7P カーチス コートニー - LXD - フェアチャイルド 91 - KR-2/グラマン グース - LXHe - Ju 160 (航空機)/LXJ - キンナー エンボイ - LXM |
| 特殊機 | 若草 (航空機)/試作実験用飛行機第一号/十七試初歩滑空練習機 - 試作実験用飛行機第二号 - 試作滑空標的機 - 一式標的機 - 一六試特殊輸送機 - MXY6/M6A - MXY7 - MXY8 - MXY9/MXY9 - MXY10 - MXY11 橘花 - 梅花 - 藤花 - 神龍 (航空機) |
| 水上戦闘機 | N1K/N1K1-J/N1K2-J |
| 陸上爆撃機 | P1Y/白光 (航空機)/P1Y2-S |
| 哨戒機 | Q1W - Q2M - 南海 (航空機) |
| 陸上偵察機 | 暁雲 (航空機) - R2Y |
| 夜間戦闘機 | S1A |
| 関連項目 | 日本製航空機の一覧 - 軍用機の命名規則 (日本) - 特攻兵器 - 特殊攻撃機 - 航空艦隊 |
カテゴリ: 偵察機 | 水上機・飛行艇 | 大日本帝国海軍航空機
