早乙女貢についての最新情報、関連する画像や動画を紹介。(出典:Wikipedia)
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早乙女 貢(さおとめ みつぐ、1926年1月1日 - 2008年12月23日)は、日本の歴史小説・時代小説作家。中華民国ハルビン生まれ。本名は鐘ヶ江秀吉、ペンネームは「若い娘に金品を貢ぐ」の意味。慶應義塾大学文学部中退。代表作に吉川英治文学賞を受賞した『會津士魂』など。
目次 |
人物
曾祖父為親が会津藩士であったといい、戊辰戦争後に祖父がアメリカに渡り、いったん横浜に帰国するがすぐに上海に渡り、一家は中国に住むが、1946年に九州に引き揚げる。1948年に上京し山本周五郎に師事。1955年頃「泉の会」に所属し、伊藤桂一、尾崎秀樹らと同人誌「小説会議」を創刊、掲載作の歴史小説「鬼の骨」「叛臣伝」で直木賞候補。1965年頃に有馬頼義主催の「石の会」に参加、1968年、マリア・ルス号事件を扱った『僑人の檻』で直木賞受賞。
呂宋から送り込まれた妖術者との戦い『死神は黒衣をまとう』、幕末の横浜居留地を舞台に柊城之介の活躍する『城之介非情剣』などの伝奇小説、『おれが天一坊』『悪霊』などのピカレスクロマン、テレビドラマ化もされた『忍法かげろう斬り』シリーズ、『忍法秘巻」シリーズなどの忍者小説、『秘剣鱗返し』『武蔵を斬る』などの剣豪小説、その他戦国時代、明治維新を舞台にした作品も多く、司馬遼太郎、池波正太郎と並ぶ時代物御三家とも称された。また当時の保守的モラルを基調とする時代小説の中では、エロティシズム描写に独自性があった。1976年『北条早雲』で吉川英治賞候補。また『霧の海』『QE2世号殺人事件』などの現代ミステリもある。「東京スポーツ」紙では『おれが百万石 前田慶次郎風流譚』などを長年連載をしていた。
ライフワークともされる『會津士魂』は、『歴史読本』誌で1970年から連載213回、原稿用紙7000枚に及ぶ全13巻の大作で、完結後の1988年に東京会館で完結祝いが開かれ、発起人遠藤周作、丸谷才一、森繁久彌はじめ600人近くの出席があった。明治維新後の会津藩士を描いた続編の『続會津士魂』全8巻も2001年に完結した。会津出身で渡米した桶屋の娘を描いた『おけい』(吉川英治賞候補)などの会津ものもある。
会津松平家の現当主松平保久とも親交があると同時に会津藩への思慕の強い作家として有名であり、『會津士魂』に代表される幕末作品・考察における視点は一貫して会津・新撰組など幕府側に立っている。明治新政府側の薩摩藩・土佐藩などの西国諸藩や、最後には会津藩を見捨てた徳川幕府に対して批判的であり、とりわけ会津藩と終始敵対した長州藩とその関係者に対しては、徹底的に辛辣かつ一切容赦のない全面的に否定的な記述に終始している。そうした記述姿勢に対する批判も少なく無い。ただし、長州人でも山田顕義については比較的好意的で、『志士の肖像』を著している。
日本ペンクラブ常任理事を務め、1984年国際ペンクラブ東京大会では企画司会等を担当、1985年サンマリノ、1990年マディラでの国際ペン大会に出席。1993年に専務理事就任、サンティアゴ・デ・コンポステーラでの国際ペン大会、1995年ブレッドでの国際作家会議、エルサレムでの日本文学フェスティバル、1996年グアダラハラ、1997年ブレッドでの国際ペン大会に代表として出席。
趣味の絵画では、1984年に新宿高野ギャラリーで『江戸を歩く』原画等による個展、1985年に会津中合デパートで『會津士魂』出版記念個展「早乙女貢が描く会津の詩」、1995年に京王プラザギャラリーで「城下町を描く絵画展」などを開催。1999年「政経文化画人展」に出品し、文部大臣賞を受賞。
受賞歴
作品リスト
- 鬼の骨 講談社 1969年
- おれは伊賀者 講談社 1970年(短篇集)
- 奇兵隊の叛乱 新人物往来社 1970年
- 死神は黒衣をまとう 集英社 1971年
- 城之介非情剣 新潮社 1973年(「一人ずつ順々に」改題)
- 忍法かげろう斬り サンケイ新聞社 1973年
- 海の琴 講談社 1973年
- 血槍三代 毎日新聞社 1974年
- おけい 朝日新聞社 1974年
- 秘剣鱗返し 毎日新聞社 1975年
- 霧の海 文藝春秋 1976年
- 北条早雲 文藝春秋 1976年(「新九郎はいま」改題)
- 風魔忍法帖 青樹社 1976年
- 呂宋助左衛門 講談社 1977年
- 独眼竜政宗 東京新聞出版局 1979年
- 由比正雪 文藝春秋 1979年
- 沖田総司 講談社 1979年
- 竜馬を斬った男 春陽堂 1980年
- 武蔵を斬る 実業之日本社 1981年
- 新太閤記 講談社 1982-83年
- 悪霊-松永弾正久秀 読売新聞社 1983年
- 妖花の城 青樹社 1985年
- 若き獅子達 実業之日本社 1985年
- 會津士魂 新人物往来社 1985-88年
- 忍法太閤記 青樹社 1986年
- 忍法くノ一 富士見書房 1988年
- 続會津士魂 新人物往来社 1989-2001年
- QE2世号殺人事件 光文社 1989年
- 志士の肖像 東京新聞出版局 1989年
- 明智光秀 文藝春秋 1991年
- 淀君 講談社 1995年
- 毛利元就と女達 朝日出版社 1996-97年
- 信康謀叛 文藝春秋 2000年
- 千姫狂乱 祥伝社 2000年
- 七人目の刺客 文芸社 2002年
- 深川しぐれ河岸 文芸社 2003年
- 新選組列伝 新人物往来社 2003年
- 士道遥かなり 第三文明社 2004-05年
作品集
- 『早乙女貢 長編伝奇全集』 (全10巻) 光風社書店 1980-81年
- 「かげろう伝奇」「花笛伝奇」「猫魔岳伝奇」「妖刀伝奇」「緋牡丹伝奇」「死神伝奇(「死神は黒衣をまとう」改題)」「八幡船伝奇」「まぼろし伝奇」など
画文集
- 江戸を歩く 平凡社 1984年
- 会津の詩 新人物往来社 1986年
参考文献
- 石井冨士弥「解説 早乙女作品の今日性」(『武蔵を斬る』光文社文庫 1985年)
- 早乙女貢、清原康正「年譜」1999年(『淀君』講談社文庫 1999年)

