アダルトゲームについての最新情報、関連する画像や動画を紹介。(出典:Wikipedia)
アダルトゲーム(和製英語:Adult game)とは性的表現があるために成人向けに販売されているコンピュータゲームソフトのことを指す。通常、18歳未満の者の購入が法律により禁じられている(まれに18歳以上推奨、16歳未満禁止のものもある)。特に断り書きがない限り、日本での事例について述べる。
暴力的・反社会な表現などがあるために一定の社会規範性をユーザーに求めるゲームについては成人向けゲームの項を参照。また、過度の暴力表現などを含む成人向けゲームについては、残酷ゲームを参照。
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概要
今日のアダルトゲームのほとんどは、Microsoft Windowsをプラットフォームとするパーソナルコンピュータ(以下パソコン)向けソフトとして発売されている。
男性を購入対象とするタイトルが中心であり、俗に「エロゲー」「エロゲ」とよばれる。「美少女ゲーム」という呼び方もある。ただし、「美少女ゲーム」という場合には性的表現のない非18禁のギャルゲーを含んでよばれる事もあるほか、女性プレイヤー向けに男性キャラクターの同性愛を描いた「ボーイズラブゲーム」、女性視点で描かれる「18禁乙女ゲーム」もあるので、「アダルトゲーム=美少女ゲーム」の図式は当てはまらない。この他に男性プレイヤー向けに少年愛を描いた「ショタゲー」もある。
マンガ・アニメ調の平面的な2次元コンピュータグラフィックスによる静止画像が主流で、日本では海外に多い実写映像や3次元コンピュータグラフィックスをもとにした作品は少ない。これは、32ビットゲーム機戦争以降3DCGの動画による表現が増加した日本のコンピュータゲームでも独特な存在となっている。このことが、マンガ・アニメのサブカルチャーと結びつき、日本のオタク文化の一翼を形成するに至った。
ゲームジャンルは、育成シミュレーションゲーム・シミュレーションRPG・アクションゲーム・RPGもあるが、アドベンチャーゲーム・ビジュアルノベルが圧倒的に多い。一方、シューティングゲーム等は珍しく、Windowsが普及してからの市販ソフトに限定すると、『とびでばいん』(アボガドパワーズ 2001)、『ソニックプリンセス』シリーズ(PARSLEY 2001~)、『あおぞらマジカ!!』(Studio e.go! 2006)、『精霊天翔』(ザウス 2009)がある程度である。
製作については、家庭用ゲームと違い高価なライセンス権や開発専用機器(例:ゲーム開発専用ワークステーション)等を購入する必要がなく、パソコン及び汎用ソフトウェア開発キットで開発可能であり、画像や音声も一般的なツールを使って作成することが可能である。そのため資金や人材の乏しい者が創作を行う場として定着し「成人向け作品として必要量の裸を出しておきさえすれば、後は自由に創作意欲を満たせる」という、かつての日活ロマンポルノの諸作品と類似したシステム構造を持つに至っている。
販売に当たっては、メーカー間の自主規制や各都道府県の青少年保護育成条例等により、18歳未満の人物が購入することのないよう販売店における陳列の分離や販売時の年齢確認を徹底するよう通達がなされている。
歴史
アダルトゲームの、歴史に関する部分を解説する。
創生期(1980年代)
1982年に販売された光栄マイコンシステム(現コーエー(KOEI))が8ビットパソコン用ソフトとして発売した『ナイトライフ』が「性」を取り扱った最初のソフトウェアとなる。ただし同ソフトウェアは「夫婦生活をサポートする」ためのユーティリティであり、受胎期間の計算や体位の解説を行うなど、性的興奮を目的としたものではなかった。
しかし「性」という日本社会では「秘め事」として余り表立って扱われることのない内容に関した同ソフトウェアが確実な売り上げを出し、ソフトウェア業界にはその方面の需要が潜在的に存在していることが印象付けられた。このため、より性的な内容に特化したソフトウェアの開発が進み、翌1983年には10本以上のアダルトゲームが販売された。
1980年代前半
初期である1980年代前半には、前述の光栄マイコンシステム、エニックス(現スクウェア・エニックス)など後にコンシューマーゲームで名をはせるソフトメーカーから、技術的ハードルが低いことにもちなんでPSK(パソコンショップ高知)・九十九電機のような現在のパソコンショップも、アダルトゲームの製作・販売を行っていた。また、1980年代半ばかアダルトゲームの制作販売を専門とするジャスト、エルフ、チャンピオンソフト、キララ等のソフトメーカーが現れ始めた。
1980年代はPC-9801シリーズ初めとする国産パソコンによってパソコン市場が拡大しており、拡大する市場を狙って勃興したソフトウェアメーカーにより様々なコンピュータメーカーがゲームソフトを開発・発売したが、この中でアダルトゲームも数多く製作された。しかしこれらのアダルトゲームは、性的な内容に絡めているとはいえ、当時の8ビットパソコンの性能的限界もあって、グラフィックや、まして音声で性的興奮を煽るようなものではなく、単に性的な事象を、映像と文章で連想させる程度であった。
この時代には、8ビット御三家に代表される家庭向けに特化し機能的に充実したパソコンが登場、フロッピーディスクのような記憶媒体に容量的な余裕がある媒体が標準的に利用でき、またグラフィック表示機能が強化された製品も出回るようになって、画像面でより直接的な性的興奮を煽るものが制作されていった。
ただPC-9801シリーズ初期モデルを含むこの当時のパソコンでは、8色ないし16色といった表示能力から、専ら塗り絵ないしアニメ調の絵との親和性が高い半面、写真のように取り込み画像の再現性は著しく制限を受けた。この結果、選択的にアニメ調の絵で性的表現を追求する方向が生まれたと見ることも可能である。この当時の描画方法が、扱える情報量や処理能力の関係から、ビットマップ画像などラスタ形式ではなく、ドローイング(態にいえば塗り絵形式)に頼ったものであったことにもちなむだろう。
1980年代中盤
現在主流のアドベンチャー形式のアダルトゲームは、『天使たちの午後』(1985年 JAST )に始まる。当時はまだ話の途中でゲームオーバーになり、話の流れはだれしも一様であった。
同時代には、このアドベンチャーゲーム形式のほかに現代でも脱衣麻雀に残る「ゲームのご褒美として性的な画像が出る」というゲームも多く、この中にはシューティングゲームやブロック崩しなど、ゲームの内容とは無関係に性的画像を表示させるものも多く、要は性的画像が表示されるというその一点のみをもってアダルトゲームに分類され、専用のコーナーに陳列されていた製品群もみられる。
その後の1980年代中ごろより、一般のゲームでも当たり前にビジュアルシーンが導入されるようになり、アダルトゲームも絵だけではなくゲーム性を重視する作品が次第に増えてきた。1980年代後半には、RPGでは『カオスエンジェルズ』(1988年 アスキー)、アドベンチャーでは『殺しのドレス』(1987年 フェアリーテール)が登場する。
ゲームセンターにおいて、業務用ゲーム『スーパーリアル麻雀PII』(1987年 セタ )がヒットし、「脱衣もの」というジャンルが確立されたのもこの頃である。
1990年代前半
1988年-91年頃には16bitパソコンの技術がある種の集大成を迎えた。ハ-ドウェア的にはPC-9801シリーズが日本国内で販売さているPCのシェアで圧倒的となる。1986年発売のPC-9801VM21以降はグラフィック、効果音、記憶媒体の性能がそれ以前に比べ向上し、またの事実上のOS統一化などによる移植性の向上、製作に関する機器(スキャナ、グラフィックソフト)の値下がり等が作手側にとってゲームが製作しやすい環境となった。デジタル的だった色合いもアニメ的な色合いが出しやすくなった。
そのためか製作本数が以前より増え多種多様なアダルトゲームが販売されるがその中で一部の作品が過激化し始めた。そして、アダルトゲーム制作企業の社長がわいせつ図画販売目的所持で逮捕される事件が発生した(沙織事件)。こうしたことから、業界による自主規制団体が立ち上げられることとなり、コンピュータソフトウェア倫理機構が設立された(#アダルトゲームと表現の規制も参照)。
この流れの中で非アダルトの美少女ゲーム『プリンセスメーカー』(1991年 ガイナックス)と、『卒業 ~Graduation~』(1992年 ジャパンホームビデオ)が登場した事で、パソコンゲームに育成シミュレーションゲームという新たなジャンルが加わり、「美少女が題材でも面白いゲームが作れる」・「CGでもマンガ・アニメに劣らない魅力的な美少女が表現できる」ことが提示された。この事がアダルトゲームにも大きな変化をもたらした。
この流れの中で頭角を現したのがエルフで、1992年12月にリリースされた『同級生』は10万本を越えるベストセラーとなった。この作品は当初シミュレーションゲームの要素を取り入れたナンパゲームとして企画れていたが、各ヒロインに個性とHシーンに至るまでの恋愛ドラマを盛り込んだ結果、それまでのアダルトゲームのイメージを覆す恋愛ゲームとして評価された。
そして『同級生』のドラマ性を参考にして開発された『とききメモリアル ~forever with you~』(1994年 コナミ)がコンシューマー市場にて大ヒットした事により、コンピュータゲームにおいて美少女ゲームが次第に市場に認知され、その中でアダルトなシーンまで踏み込むものとしてアダルトゲームが知られるようになる。
1990年代中頃
この時期はハード的にはPC-9801シリーズとPC/AT互換機の端境期に、ソフト的にもDOS系のOSからGUIのWINDOWSへの移行期となっていた。この頃のアダルトゲームは「どうゲームとして面白くするか」が試行錯誤された時期であった。その中で、プレイヤーの選択によって異なる物語と結末が訪れるマルチシナリオ・マルチエンディング形式のゲーム『弟切草』(1992年 チュンソフト )がスーパーファミコンで発売されヒットする。この作品のシステムはアダルトゲームにも大きな影響を及ぼした。
アダルトゲームで初のマルチシナリオ作品は『河原崎家の一族』(1993年 シルキーズ)である。その後、菅野ひろゆきにより、『DESIRE ~背徳の螺旋~』(1994年 シーズウェア )・『EVE burst error』(1995年 シーズウェア)、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(1996年 エルフ)と発展してゆく。
また、マルチシナリオ以外ではファンタジーアドベンチャーとウォーシミュレーションの融合『ドラゴンナイト4』(1994年 エルフ)と、本格的ダンジョンRPGの『闘神都市II』(1994年 アリスソフト)がリリースされ、以降1995年にエルフが迷宮脱出推理アドベンチャーの『遺作』、アリスソフトがマルチシナリオの『夢幻泡影』をリリース、1996年にはエルフが前述の『YU-NO』を、アリスソフトが地域制圧型シミュレーション『鬼畜王ランス』をリリースと、エルフとアリスソフトの2社を中心とした開発競争が繰り広げられ、「東のエルフ、西のアリス」と呼ばれるようになった。
しかし、この中で発展を遂げてゆくのは、より恋愛物語色を強めた『同級生』の後継作『同級生2』(1994年)で、以降のアダルトゲームはセックス描写を含む恋愛物語要素やシナリオを重視した、選択肢とイラストが付いた読み物とでも言うようなトレンドに傾いてゆく。
また、まだパソコンが高価だった時代に、「SM調教師瞳」(スーパーファミコン)や「しあわせうさぎ」(PCエンジン)などの家庭用ゲーム機対応の「裏ソフト」と呼ばれる物が発売されたのもこの頃である。
1990年代後半
技術面では1995年のWindows95シリーズのヒットやパソコンの低価格化によるパソコンユーザーの増加と、技術開発や記録媒体の大容量化による画像、音楽表現能力の著しい向上が見られるようになる。市場面では、テレビアニメ『美少女戦士セーラームーン』・『新世紀エヴァンゲリオン』の大ヒットと、いわゆる「オタク」と呼ばれる層の、漫画・アニメ市場が拡大した時期でもある。アダルトゲームがオタク文と呼ばれる文化の一翼を担い、純粋に性的興奮を目的としたアダルトビデオ等とは異なる道を進むようになるにはこの頃である。
この流れを作った初めの作品は『Pia♥キャロットへようこそ!!』(1996年 カクテル・ソフト)である。ゲームシステムは『ときめきメモリアル』の簡易・縮小版とでもいうものであったが、徹底して美しさ・エロさより可愛らしさを追求したキャラクター作りと等身大のラブストーリーが話題を呼び、翌1997年に発売された続編『Pia♥キャロットへようこそ!!2』で10万本以上の大ヒット作となった。この作品の人気は後に秋葉原から始まったオタク文化の代名詞的存在、『メイド喫茶・コスプレ喫茶』のアイディア母体にもなっている。
ゲーム性をばっさりと切り捨て、ビジュアルとストーリーに特化した「ビジュアルノベル」と呼ばれる形式の作品が出るのもこの頃である。コンシューマソフト『弟切草』が文章・絵・音を組み合わせ、選択肢をプレイヤーに選ばせることでストーリーとエンディングが変化していく、マルチエンド方式の「サウンドノベル」を売り出した。1996年Leafは、「弟切草」を参考に、ビジュアルノベル第一作 『雫』を制作。インターネットが普及してない時代であったが、パソコン通信や口コミで広まり、ヒットする。続いて、同じコンセプトの『痕』を同年発売してロングセラーを記録することになる。『雫』『痕』のヒットにより、ゲーム性からストーリー性への変更が業界に定着し、発売されるゲームほとんどがビジュアルノベル形式になる。
翌1997年に出た『To Heart』 が、日常を舞台として女性と仲良くなり付き合う過程を楽しむ、いわゆる恋愛ゲームを発売した。『To Heart』はアダルトゲームという枠を飛び越え、コンシューマ化・アニメ化漫画化などのメディアミックスにより、大衆に広く知られる作品となった。プレイヤーの好みのキャラクターを用意するため、幼馴染・活発・無口・外国人などの定型的なキャラクターの先駆けでもある。
Leafとは別の方向でストーリー重視を打ち出して成功したのが『ONE 〜輝く季節へ〜』(1998年 Tactics )で、ラブストーリーに感動できる要素と泣ける要素を盛り込み、それを音楽によって高める演出の秀逸さで人気を集めた。この方向はのちに製作スタッフの一部がビジュアルアーツに移り旗揚げした新ブランドKeyの第一作『Kanon』(1999年)、第二作『AIR』(2000年)が立て続けに大ヒットとなり、俗に「泣きゲー」と呼ばれる「純愛系」のジャンルが形成されていく。
『Pia♥キャロットへようこそ!!』・『To Heart』・『Kanon』の三作品の大ヒットは、コミックマーケットを中心とした同人・コスプレイヤー達の興味を引き、ここから女性ユーザーを獲得する事に成功、アダルトゲームはアダルト・ポルノ業界で異色の存在となってゆく事になった。三作品の大ヒットは、以後の業界の流れをつくりだし、恋愛ゲーム主流となった。メディアミックスも活発になっていくのもこの頃である。同時に、メディアミックスの進行は、大衆化するために、日常シーンとダルトシーンの簡単な切り離しが起こった。結果として、アダルトゲームの根本であるアダルトシーンが従になり、おざなりなアダルトシーンをつけくわえただけの作品も乱発されることになった。
2000年代前半
2000年代にはいると、アダルトゲームは漫画・アニメに次ぐキャラクター産業の色彩を帯びるようになり、主題歌を歌う歌手がアルバムを発売したり、テレビアニメ・漫画・ラジオ・カードゲームなど他の業界でもアダルトゲームを元にした商品が製作されることになる。また、日本国外への進出も、姫屋ソフト、Studio e.go!など一部メーカーによって、早い段階からアメリカ、台湾等日本国外の市場を意識した商法も行われている。
2000年冬のコミックマーケットで登場したオリジナル同人アダルトゲーム『月姫』(TYPE-MOON)のヒットと前後して多くの同人サークルが商業ブランド化されたり、老舗ブランドの会社から一部スタッフが独立して新会社が立ち上げられたり、他業種・近隣業種の企業による参入などが相次いだ。
1990年代後半から拡大した「泣きゲー」とは正反対に、嫉妬・すれ違い・失恋・修羅場といった恋愛における「負」の部分も描き出す作品が出始めたのがこの時期である。実写ドラマさながらのドロドロの三角関係を描いた『君が望む永遠』(2001年 アージュ)は「鬱ゲー」というジャンルを開拓したとともに、本来の意味でのアダルトの為のゲームと呼べるものがユーザーに受け入れられたことをアダルトゲーム市場の成と捉える向きもある。
純愛系ではソフ綸の規制強化を逆手に取るように、義妹・幼馴染・いとこ(主に従兄妹)がメインヒロインの作品が急増。その中で『みずいろ』(2001年 ねこねこソフト)、『D.C. 〜ダ・カーポ〜』(2002年 CIRCUS)が相次いでヒットした。
一方老舗のメーカーでエルフは鬼畜・凌辱物の『臭作』(1998年)・『鬼作』(2001年)といった純愛以外の作品や、ライトノベル作家あかほりさとる原作で、萌え重視・メディアミックス重視の『らいむいろ戦奇譚 ~明治日本、乙女 防人ス。~』(2002年)を送り出す。もう一方の雄アリスソフトはあくまでエロさとゲーム性を重視した作風の『大悪司』(2001年)、『ランスVI-ゼス崩壊-』(2004年)といった作品や、希望小売価格が2800円の『妻みぐい』(2002年)で低価格路線を打ち出して新たな流れに対抗した。
2000年代中盤~現在
戦闘シーン、登場人物、武器、ストーリーを重視した萌えゲーならぬ燃えゲーも出始める。『斬魔大聖デモンベイン』(2003年 ニトロプラス)は巨大ロボットに搭乗し、悪の組織と死闘を繰り広げるというストーリーで、『あやかしびと』(2005年 propeller)は人間にして妖怪の能力を持ったキャラクターの生き様を描いている。恋愛ゲームでは主人公がプレイヤーを投影しているため、顔が見えなかったり、個性が薄かったりすることがあった。また恋愛ゲームという性質上、男性キャラクターに割く割合がせまかった。「燃えゲー」では戦闘シーンが主おかれ、主人公も含めた男性キャラクターが活躍し、人気投票で女性キャラクターよりも上位にくることもあった。
また(2004年)はTYPE-MOONの『Fate/stay night』が大ヒット。ここにおいても製作者がアダルトシーンは「サービス」と言い切るように、アダルトシンの軽視は行われている。
より売れる作品をつくるために、方向性を変える会社もでてきた。好例が同じ会社、同じシナリオライターが制作した『姉、ちゃんとしようよっ!』(2003年 きゃんでぃそふと)からその続編である『姉、ちゃんとしようよっ2』(2004年 きゃんでぃそふと)、そして『つよきす』(2005年 きゃんでぃそふと)への内容の変移であろう。性的描写が多く、ストーリー軽視傾向にあった1期作に比べ、2期、『つよきす』へと移り変わるにあたって、ゲーム自体のサイズは増えているにもかかわらず、性的描写が量的に少なくなる傾向にあり、また比較的後半におかれていた。『つよきす』は地上波でアニメ化・コンシューマ化など、前者とは違いメディアミックスにより、大衆化もした。陵辱ゲームで有名だったスタジオメビウスは、純愛ゲーム『SNOW』(2003年)を発売し、ヒットした。
一風変わった作品をつくるブランドもあった。ライアーソフトは近親相姦をテーマにした『腐り姫』(2002年)・おとぎ話、イギリス文学をモチーフにした『Forest』(2004年)を発売した。Black Cycはアダルトとグロテスクが混在した『夢幻廻廊』(2005年)・『ゴア・スクリーミング・ショウ』(2006年)などの作品をつくった。
技術の進歩により、ビジュアルノベルを発展させた作品も産まてきた。『School Days』(2005年 オーバーフロー)は全編アニメーションで構成した。『マブラヴ オルタネイティヴ』(2006年 アージュ)は、画像効果などの演出に力を入れた。それまでの平面から立体に画面を変え、3次元コンピュータグラフィック恋愛ゲーム「らぶデス」シリーズ(TEATIME)もつくられた。
アダルトゲームと規制
アダルトゲームに関する、日本国内の社会一般における議論や、表現の自主規制について解説する。
概要
アダルトゲームの規制に関する意見の中には、一部に感情論的な側面が含まれ、他方では明確な論拠を持たない、ないし意図的に誤解を誘うようにされているものすら見られる。これらには、過去の犯罪行為に対して忌避感を抱く側の拒絶反応または嫌悪感や、あるいは制作者の利害関係、ないし愛好者の規制に対する危機感が、密接に関連していると言える。
またマイナーカルチャーないしサブカルチャーの常として、これを包括的に研究する社会学や心理学、あるいは犯罪学の研究者も稀であり、この議論に明確な正解を提示できる者は、現在の所として見られない。このため、規制の賛成派と反対派の議論は、ほぼ双方の平行線に終わっており、現状に於いて決着がつかないのが実情である。加えて双方の話し合いの場すら、一部のインターネット上のコミュニティを除けば、皆無といえるような状況である。
他方では、社会的圧力から販売禁止による損害を恐れるゲーム制作企業(メーカーが、様々な迂回策や自主規制を行う傾向も見られる。このメーカーサイドの事情や状況は、アダルトゲームないし残酷ゲームなどを含む、広義での成人向けゲームの項も参照されたし。
規制に関する歴史
2005年現在において、日本では同年2月には45本発売されるなど(PC Angel2005年5月号による)多数のアダルトゲームが発売されている。『ナイトライフ』(光栄マイコンシステム 1982年)が始祖とされるこれらのゲームには、業界共通の性的描写に関するガイドラインは存在せず、性的描写は各企業の裁量に任されていた。なお、ナイトライフ自体はどちらかと言うと「夫婦生活をサポートする」ためのユーティリティ的なソフトウェアであり、直接的な性的興奮を目的としたコンピュータゲームではなかった。しかし同作品のヒット以降、着実に性的興奮を目的としたコンピュータゲームが、当時表現力が次第に向上した8ビットパソコン向けに盛んに販売されるようになった。
これら成人指定の性的描写を含むコンピュータゲームの多くは、個人でもソフトウェア開発環境を揃え易いパーソナルコンピュータ向けの作品となっており、当初の市場はマニア・おたく向けの微々としたものであった。このため一般からは特殊な再生媒体によるポルノ作品としてのみ扱われ、1980年代末までのこれらゲームに対する一般の販売店での扱いは極めて無頓着なもので、販売店によっては商品であるこれらソフトウェアのパッケージは「店の入り口からでも見えるような位置」に堂々と陳列されていたり中高生ですらこれを購入する事になんら制限は見られなかったほどである。社会一般での認知度も「ほぼ無視ないし無名」といった状態であった。
だが、次第にアダルトゲームは問題視されるようになる。1986年には、刑法177条(強姦罪)からタイトルを取った『177』(マカダミアソフト=デービーソフトの一部門)が、草川昭三により国会で取り上げられた。そして1988年に起こった東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件や、それに端を発した有害コミック騒動によってポルノ業界そのものへの批判が強くなっていく。
1991年、中学生が成人向けゲームを万引きしたことにより、成人向けゲームへの非難が高まり、製作会社の社長が京都府警に逮捕される事件が起きた。のちに沙織事件と呼ばれるものである。国会にも取り上げられたこともあり、業界全体に事態を重大に捉える動きが生まれた。翌 1992年には、業界団体の社団法人日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA)が18禁シ-ルを作成し、希望する企業への販売を開始した。一方、『電脳学園』(ガイナックス 1989年)が宮崎県における青少年の健全な育成に関する条例に基づき有害図書指定される。
沙織事件や宮崎県での有害指定をうけ、自主規制団体の必要性が叫ばれるようになり、1992年10月に自主規制団体のコンピュータソフトウェア倫理機構が設立された。他の分野では1990年にコミックマーケットが幕張メッセを使用できなくなる事件、それに伴いコミックマーケットでの性的表現自主規制が強化される事件が発生し、非実写性表現のあり方を問われた時代でもあった。
1996年には『子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議』がストックホルムで開催された。この会議で日本人によるアジアでの児童買春と、日本国内で大量につくられる児童ポルノに対して非難が起きる。これに対して日本は法整備、取り締まりの強化を表明した。これらでは当時の日本に於いておたく向けの商業作品群に、所謂「アニメ風の女の子(→萌え絵)」を使っての性的興奮を煽る事を目的とした物が多く見られ、市場もそれら作品の傾向に寛容であった事も、同規制による議論の対象に挙げられている。特にアダルトゲームと呼ばれるコンピュータゲームでは、かなりの比率をこの「アニメ風女の子」を使った作品が占めている。
1999年は超党派の国会議員によって『児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律案』が提出され、成立した。法案段階では『児童ポルノ』の範疇に「絵」が含まれていたことから、業界筋やユーザー筋でも大きな論争になった。成立した段階では『絵』は対象外になったが、3年後に見直しを行うことを明記した。
2005年4月には、野田聖子の呼びかけにより、『少女アダルトアニメ及び同シミュレーションゲームの製造・販売に関する勉強会』が行われたが、この勉強会自体は大きな話題になることはなかった。
2006年4月10日に日本テレビはNNN NewsリアルタイムおよびNNNきょうの出来事において、「アニメやインターネットに溢れる性や暴力に関る情報が、子供を標的にした事件に結びついている可能性がある」として警察庁が新たな規制に動き出した事を報道した。この報道内容について、視聴者から「偏った報道である」等の反論が寄せられた。 2008年に入り、国会では児童ポルノの規制強化を目的として、性表現色の濃い漫画・アニメ・ゲームといったフィクション作品の単純所持をも規制対象に含める改正案を検討し始めた(詳細は「漫画・アニメ・ゲームの単純所持規制」の節にて後述)。
漫画・アニメ・ゲームの単純所持規制
2008年に入り、国会では児童ポルノの規制強化を目的として、性表現色の濃い漫画・アニメ・ゲームといったフィクション作品の単純所持をも規制対象に含める児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の改正案を検討し始めた。しかし、以下に記すような矛盾・齟齬などが生じることから反対意見が大多数を占め、今後の議論が注目されるところである。
- 性意識に歯止めが利かなくなり、実際の性犯罪に発展する危険性が極めて高いとする意見(ただしこの主張は、客観的データによる裏付けは薄い。未成年女性を対象にした性犯罪の立件件数は、近年に限れば社会全体が混乱していた戦後直後が最も多く、時代が下るにつれて減少している)。
- 14歳で母親となる少女を扱ったドラマ『14才の母』や、兄妹間の恋愛から近親相姦を彷彿とさせるなどあたかも近親相姦を美化した内容と評価されかねないドラマ『僕は妹に恋をする』など、実在の人間を使って作られた三次元創作物は許容されている一方で、絵を用いて作られる二次元創作物のみが規制されるというのはおかしいのではないか、とする意見。
- そもそも、これら創作物の表現形式を規制するのは、憲法第21条(表現の自由)および憲法第19条(思想・良心の自由)に反するという意見(ただしわいせつ物頒布罪に抵触するものは、刑法175条を典拠として摘発されることがあるが、モザイク処理のしてあるものは法律上のわいせつ物には含まれない)。
- 合法である時代に合法手段で購入した物品まで規制対象に含めるならば、法律が施行されると同時に莫大な数の人間が立件対象になる(ゆえに法律の施行は事実上不可能である)、とする意見。
- 同じく、現時点で存在している物品まで規制対象にするのであれば、国側は強引な法案を施行するのであるから当該作品を責任を持って買い取るなど、一定の『処分手当』を払うべきだとする意見。
- いざ立件し、逮捕・起訴・裁判となった際でも、作品の作り手側が『登場人物の年齢はすべて20歳・または21歳以上である』などと主張した場合、検察側はそれを何らかの形で立証しなければならない。しかし二次元創作物 = 実在し得ない人物であることから、当事者である登場人物を出廷させるのは事実上不可能なことであり、よって証拠としての立証をするのはとうてい無理な話である。それでも、判事が証拠として認めた場合は、作中に登場するあらゆる設定を法的に認めることになり、社会性といった点で矛盾した裁判に為らざるを得ないとする意見。
- (画像・写真を一方的に送りつける、あるいは自動的にダウンロードさせた上で、しかる後に警察に匿名で通報すれば、送られた側は気が付かないうちにそれらの作品を所持していたことにされ、犯罪者に仕立てあげられた挙句に逮捕されてしまうのではないか、とする意見。既に単純所持規制のある国では逮捕され有罪とされたケースも存在する。
- 成人漫画家・アニメーター・ゲームクリエーターといった『人物絵を描くことを生業とする人たち』の絵画的表現を束縛し、最終的には彼らを失業させることに繋がるとする意見。
など。
これに対し、国会では「被疑者となる人物・被害者となる人物が共に存在しない」という意見が強かったことから、規制改正案は見送られた。
規制強化を求める考え
規制強化を求める側の主張として、これらのゲームが流通することで児童誘拐事件などの凶悪犯罪が発生する可能性がある為、被害防止のために規制するべきという考え方がある。
また、内容的に犯罪行為(→強姦)を扱うゲームがしばしば発表されている部分にも絡み、これらゲームの消費者の嗜好や、製作側の諸事情で用いられている所謂「アニメ風の女の子」の絵(→萌え絵)が、可愛らしさや女子らしさを強調しようとした結果、その映像面で幼児・児童として認識され得る辺りにも関連して、同種作品への拒否感を強め、規制案への支持に及んでいる傾向が見られる。
誘発性
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の制定にも力を尽くしたNGO・ECPAT/ストップ子ども買春の会の共同代表者は「子供を性的虐待の対象として表現した児童ポルノは子供をそういう対象として使用していいんだという意識を一般化したり助長することにもなりますので、そうした表現は実在の子供を対象としたものに限定することなく禁止すべきだと考えています」と述べている[1]。
仮想的な人権論
これらの主張の他にも、架空のキャラクターにも人権が存在する為、陵辱されるようなゲームは許されないとする意見ある。元NPO法人[2]カスパルの代表者は朝日新聞のインタビュー(2005年1月10日)で「絵で描かれていても、少女たちの人権を侵していることには違いありません。」と述べている。
この辺りは、ゲームによって提供される仮想内の出来事ながら、半ば作品提供側の意図したストーリーで犯罪行為を追体験するような物への風当たりが強く、また人間社会では各々の個人が持つ人権が同等の物であるように、ゲーム内に構築された仮想世界では、ユーザーの操作する主人公と、陵辱される側のキャラクターは本質的に同等の「仮想的人権」を有しているであろう…という点も成立する。
規制強化を求める考えに対する反論
規制強化を求める考え方に反論する意見として、メーカー側からは主に、憲法で保障される所の表現の自由に依る物がおおく、犯罪的内容であっても、実質的に仮想のストーリーを提供するゲームというメディアにおける表現の一つであり、ピカレスク文学が、文学・文化として認識されるように、犯罪を扱ったゲームも、所詮はゲームに過ぎないのだという反論が見られる。特に純愛ものの規制については、相対的わいせつ概念を援用した反論が強い。
ユーザーサイドからの反発
また、これらゲーム作品には各々、熱狂的なファンや愛好者も見られ、これらユーザーからも多くの反論が寄せられている。これらは主にインターネットのウェブサイトや電子掲示板によってしばしば見られる論調であるが、その多くが過去の規制論者側の発言への証や反論など…となっている。
主な所を挙げると、以下のとおりである。
- 被疑者・犯罪者の所有物にゲームが含まれているからを理由にすることもあるが、犯罪に影響しているなど証明すること自体できない。また、自白などで影響されたと発言しても、所詮は頭で考えて発言しているものであり、罪を軽減するために発言している可能性もある。
- 新規メディア(漫画やテレビ、小説も初めのころは有害視されていた)に対する攻撃ではないのか?
- 嫌悪感や宗教・道徳、性的モラルなど規制強化論者の個人的信条に基づいて規制を主張している可能性があり、他者の個人的信条を侵害する恐れを考慮していない。
- 強力効果論は学界内で科学的に定されており、また犯罪誘発や子供の心を破壊しているとする理論には、学術的・科学的根拠そもそもがまったく存在していないにも関わらず、ゲームを規制をするのか?
- 絵画、図画によるポルノが実在の児童に対する性的虐待を誘発する、因果関係があるのか証明することができない。
- 昨今の性犯罪の増加は、その他の犯罪同様日本社会全体の治安悪化の一部に過ぎず、性犯罪のみにおいて創作物を原因とするのは責任転嫁であり、根本的な解決とはなりえない。
- 子供の心を破壊しているというが、実際にそのような児童・生徒は存在しているのか?
- ゲームはフィクションであり架空のものであるにもかかわらず、"架空の"キャラクターに人権そもそもが存在するのか。もし存在するとするなら、漫画や芸術画などの絵にまで人権があることになってしまうのではないのか?
- 規制の基準があいまいで恣意的に規制範囲が拡大する恐れがある。(→言論統制、別件逮捕)
- そもそも創作物の規制は日本国憲法第21条(表現の自由)に反する。
これらは、主に一般個人の立場で表明された物であるが、その多くが匿名である事も関係して、あまり注目されない傾向があるとされている。しかし、1999年の児童ポルノ法成立時、及び2002年の改正時に、主だった政党や国会議員に対する質問、意見、さらにはインターネットやコミックマーケット等の同人誌即売会において実名署名活動が展開されている。 1999年の成立時に党体制として反対を唱えていたのは日本共産党であった。規制ではなく社会的な抑制で問題を解消すべきという立場からである
曖昧な基準
日本において、規制を行う団体によっても、その対象・程度にばらつきも見られ、客観的に何処までが容認されるのか、何処からが規制されるのかと言う面で、レーティング設定も業界ごとに規制対象がまちまちであり、業界側は問題が無いとして発売した物に対して、他の団体が規制をかけるといったケースも少なくない。
学識的・理知的な裏付けがない場合や、団体各々の主観で判断している部分もある。これが規制導入側にしても、その影響を被る側にしても混乱を招く結果となっており、米国に見られるような明確な統一基準が望まれている。
この状況を打破する目的も含め、2006年4月より経済産業省の指導でCESA、ソフ倫、日本アミューズメントマシン工業協会、映倫管理委員会、日本ビデオ倫理協会と映像コンテンツ倫理連絡会議(仮称)において審査基準・表示の一本化を協議することが決定している。
自主審査機構
規制に関する歴史にあるように沙織事件などから来る規制強化の流れを受けて1992年、自主規制団体コンピュータソフトウェア倫理機構(以下ソフ倫)が設立された。性表現の規制については日本ビデオ倫理協会(以下ビデ倫)初期の規制を参考にしたが、実写を管理することを目的としたビデ倫の規制は、主に絵が主体であるアダルトゲームでは必ずしも実態に見合ったものとはならず、後に規制及びソフ倫に対する不信感を生むこととなった。
ソフ倫は業務内容が公表されず、協会に人員を提供している制作会社には審査が甘いという意見を持つ人もいたりと不透明感が高い、ユーザーサイドの求めるものとの格差が大きいことから、ユーザーやメーカーは不信感を抱いていた。その上、1999年に施行された児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の影響などにより、18歳未満の男女キャラの性的描写の禁止や、ゲーム内において使ってはいけない言葉(いわゆる「NGワード」)の規制が年々強まり(例えば「学校」という言葉を「学園」に言い換える、など)の拡充など、規制は増すばかりであった。ソフ倫はパソコンソフト卸会社との連携を重視していたため、ソフ倫に加盟し規制に従わなければ事実上アダルトゲームを売れない状況にあった。
2001年、当時人気を博しいた『君が望む永遠』(アージュ 2001)が、画像の修正処理に不手際があるとして回収された。ソフ倫は部審査の体制を取っているため、審査漏れ自体は珍しいことではなく、規制漏れによる回収もこれが初めてではない。しかし、この部分審査の体制と回収の際に何ら補助の無いこと等に不信感をあらわにしたアージュはソフ倫を脱退する。
アージュ作品を取り扱っていたソフトウェア卸売会社ホビボックスは、アダルトビデオの自主審査機構だったメディア倫理協会(現・コンテンツ・ソフト協同組合メディア倫理委員会、以下メディ倫)にアダルトゲームの審査を行うように働きかける。そしてアージュは2003年にメディ倫審査のアダルトゲーム第1号となる『マブラヴ』を発売した。当時のメディ倫はソフ倫と違い、全ての素材を審査する完全審査体制を取っており、かつ規制も若干緩いもの(卑猥な用語への修正の是非等)であった(この事態に一部の店舗ではソフ倫審査作品以外は扱わない方針を取ったため、一部店舗に『マブラヴ』が入荷しないという事態も起きる)。そして2004年初頭には数々のブランドを抱える大手・テックアーツがメディ倫移行を表明、前後して主に中堅以下の数ブランドがメディ倫へ移行した。
これに対し、ソフ倫は近親の性的描写の緩和等の規制緩和を行った。このことは、以前の審査基準には何ら明確な意味が無く、顧客(メーカー)の流出を恐れる儲け優先の体質が浮き彫りとなった。そのことにより、ユーザーやメーカー等からさらなる不信感を煽る事となる。
特定表現の自主規制
近親相姦描写
1980年代は業界に明確な規は存在せず、作ろうと思えば近親相姦ゲームは作れる状況にあった。しかし、1991年沙織事件が起こった後、近親姦に関する規制は強まった。問題となった『沙織』には兄妹と父娘の相姦画像が幻覚という設定ではあったが含まれていた。
ソフ倫が設立されたのは沙織事件の後であるが、その大まかな指針として近親相姦の描写のあるゲームの規制を行っていた。しかし、この時点では正式には規定されておらず、それほど過激でなければ許されており、通過する作品も少なくなかった。当時の作品としては兄妹相姦の描写のある『夢幻泡影』(ALICE SOFT 1995)、『魅惑の調書』(BLACK PACKAGE 1996)、『アトラク=ナクア』(ALICE SOFT 1997)などの作品があるが、当時は近親相姦そのものよりもストーリーや性描写の方が重視される傾向にあった。ソフ倫を率先していたD.O.すら『雑音領域』(D.O. 1996)で兄妹相姦を扱っていた。シーンはないが『雫』(Leaf 1996)でも兄妹相姦は話題にされていた。
だが、1998年12月に発売された、父と息子、母と息子、妹と兄、姉と弟の相姦という過激な話を取り扱った『コ・コ・ロ・・・』(アアル 1998)が販売禁止処分を受け回収され事態は急変する。この作品は、近親相姦の相手を義理の関係にして再発売され、後のゲームにおける近親相姦のパターンに大きな影響を与える事になった。義理であっても傍系血族であるから近親に分類されるが、近親婚の禁止について民法第734条の但し書きに養子の異性(傍系のみ)とはこの限りではないとあるため、婚姻は可能で公序良俗に反しないとされたのである
『コ・コ・ロ・・・』の販売禁止の半年後の1999年6月22日、コンピュータソフトウェア倫理機構・倫理規程の改定にり、近親相姦描写の禁止は成文化された。これは1999年11月に施行された児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律に対応したものであった。同時に同性愛の表現も規制されたため、弟や兄や父との近親相姦の描写も困難となった。ちなみに、近親相姦の描写については、この時点で官能小説や成人漫画においては不可ではなかったが、AVでは日本ビデオ倫理協会が禁止事項としていた。
この直後『シスター・プリンセス』のヒットによりいわゆるメディアミックスにかかる分野全般で「妹ブーム」と呼ばれる現象が起きた。もっとも「妹ブーム」とはいっても、先駆けとなった『シスタープリンセス』をみてもわかるように、ブームとなったのはあくまでも"義理"の妹だった。義理の妹はソフ倫でも禁止していなかったため、ブームにのっていくことになる。結果として『みずいろ』・『D.C. 〜ダ・カーポ〜』などを筆頭に、義理の妹を前面にだした作品が売れる。一方、かつてはそのまま出せたゲームも移植などの再発売では規制の対象となり、父娘相姦のシーンのある『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(elf 1996)もWindowsに移植される際に伏字だらけになってしまい、興趣を大きく殺がれるものとなってしまった。他にも前述の『雫』がリメイク発売される際には、規制に適合させるため、義理の兄妹という設定に変更された。ソフ倫の審査を通さずに出したゲームでは21禁の『実姉妹 ~濡れた相姦図~』(ANALOG FACTORY 2002)が存在したが、ゲーム内容もありそれほど評価は高くなく、ソフ倫非審査を理由にゲーム流通にもあまり乗れなった事から話題性に欠ける事となった。ソフ倫を通過した作品であっても、『腐り姫』は近親相姦を直接的に描かずに仄めかすに留めることで発売され、好評を博した。
他方、この頃から近親相姦を扱った官能小説のライターなどの働きかけをきっかけとして、ソフ倫加盟メーカーの間に規約改定を要求する風潮が高まってゆく。また、2003年にメディア倫理協会(メディ倫、現在のコンテンツ・ソフト協同組合の前身)との業務競合が始まると、メディ倫がゲーム向けに定めた規制内容との比較などからソフ倫は過剰規制という批判にさらされる事になった。さらには、表向きは別としても実態として顧客メーカーのメディ倫への流出を恐れたソフ倫が、それまでの規制の再検討を行う事態に発展してゆく。この結果として、規制の箍は徐々に緩み始め、仮想世界における兄妹相姦を描いた『こころナビ』(Q-X 2003)や、脳だけ姉という設定で展開される『タナトスの恋 〜淫姉弟相姦〜』(Red Label 2003)が発売された。また一方で義理の弟との兄弟相姦の描写のある『恋する妹はせつなくてお兄ちゃんを想うとすぐHしちゃうの』(CAGE 2003)が発売されるなど同性近親相姦の規制も緩まっていく。一方同人でも2004年6月『夏の燈火』(Circle Mebius)などから兄妹相姦を扱うものが現れ始めた。
そして、2004年秋に規約が改定され近親相姦の描写は解禁となった。同時に獣姦描写も可能となった。その後『死妹人形』(九頭龍、2004)が10月29日に発売され、一回のみながら実の兄妹の親相姦シーンが出る。11月26日には『ALMA〜ずっとそばに…〜 -Complete Edition-』(Bonbee! 2004)発売される。
現在は近親相姦描写においてもニーズの多様化が起こっており、実の妹のみならず実の姉や実の母を対象としたゲームも存在しており、一定の売り上げを確保している。だが、義理の関係を扱ったゲームがそのストーリー性でメディアミックスが好調であったのに対し、こちらはメディアミックスに関しては低調である。近親姦をテーマにした作品は少女漫画ではかなり著名なものが多いが(例:『天使禁猟区』『罪に濡れたふたり』『僕は妹に恋をする』)、アダルトゲームの場合は精神的葛藤や苦悩がさほど描かれず、即物的にその背徳感を楽しむのが主眼であるものが多いためか、アダルトゲームのプレイヤーたちの間すら広範な一般受けはしておらず、好き嫌いがはっきりと分かれる傾向が強い。
技術
アダルトゲームの、技術に関する部分を解説する。
開発環境
このことはアダルトゲームのみに限定されないが、パソコンゲーム全般は、その黎明期において動作環境であるパーソナルコンピュータが、ソフトウェアの開発環境をもパッケージ化された製品として市場に出たため、パソコンゲームの開発には家庭用ゲーム機よりもハードルが低く、極端な例では現在の同人ゲームと同程度の出資によって制作可能であった。このため、日本国内においてのアダルトゲーム発展の歴史は、パソコンゲーム発展の歴史と重なる部分が強い。
開発環境は、家庭向けのパーソナルコンピュータの性能が向上していく過程で、それに牽引される形で発達を見せており、この事情はやはり黎明期からあまり変わっていない。しかし共通化されたゲームエンジンの開発と導入などにもより、より「アダルトゲームを含むコンピュータゲームの開発のしやすさ」は向上しており、これは同人ゲーム開発サークルとの境界の曖昧化を発生させていると見ることも可能である。
この中では、技術力のあるメーカーが独自に新しい映像技術を開発・導入したりする一方で、おたく文化の発達にもより作画担当者が輩出されている関係で、技術力に劣る中小のメーカーでも描画力に優れ人気のある作画担当者(作家)を擁して対抗しうるなどの、住み分けを行っている様子も見られる。
グラフィック
日本のアダルトゲームの最大の特徴を成しているのがグラフィックである。アダルトゲームが出始めた1980年代の8ビットパソコン時代の末期から16ビットパソコン全盛期では技術上の制約からプログラマー兼デザイナーの描くドット絵に留まっていた。その流れが大幅に変わったのがアニメーション制作会社であったガイナックスの参入と『電脳学園』『電脳学園2 HIGHWAY BUSTER』(共に1989年)の登場である。ここで赤井孝美・菊池道隆(麻宮騎亜)・新田真子・明貴美加といったアニメーターとして名を成した人物が参入し、これに触発され、各社成人向け漫画家・アニメーターを起用し始めた。その中でエルフがアニメーター竹井正樹を起用した『同級生 (ゲーム)』(1992年)がヒットし、翌年アニメーター横田守を起用した『河原崎家の一族』もヒットとなった。
1995年のWindows 95の登場により解像度と発色数が増え、以降技術進歩により、コンピュータゲームでも対戦格闘ゲームやロールプレイングゲームなどの他ジャンルでは立体感のある3Dを用いたり人物描写も比較的写実的になるのに対しアダルトゲームは現在も2Dコンピュータグラフィックスで人物を表現するのが主流となっている。顔は瞳が顔の大半を占めるほど大きい反面、鼻や口がしばしば簡略化ないし省略される、一般的にはマンガ絵・アニメ絵と呼ばれる独特なデザインで表現されている。そのデザインはしばしばエロさといった性的興奮より、ユーザー・愛好者以外からは幼い・かわいらしいといったイメージを持たれる物で、それらへの愛らしさは『萌え』という単語で表現され、萌えを喚起する絵ということで『萌え絵』とも呼ばれている。
音声と声優
グラフィックが女優による映像ではなく、絵による画像が主流のアダルトゲームにおいては、キャラクターに音声を入れる場合がある。その音声を担当するのは声優として演技の修養を積んだ人物が圧倒的に多い。
アダルトゲームへの音声の導入はCD-ROM・大容量ハードディスクというハードウェアの技術進歩があって初めて可能になった要素で、時期的には家庭用ゲーム機における導入とそれほど大差は無く、1990年代前半くらいから徐々に普及し始めた。
コンピュータゲーム業界全体では「第三次声優ブーム」のあおりを受けて高騰する声優のギャラを巡って1997年9月からCESAと日本俳優連合(日俳連)の間で交渉の場がもたれたが、ランクをアニメのそれより高額なものにするよう要求し、さらにハード間移植の際の音声二次使用料を要求するなど、強気の日俳連の前に交渉は難航。仲裁に日本音声製作者連盟(音声連)が加わり、日俳連がかなり譲歩する形で1999年2月10日に合意、ゲームにもランク制が導入された(合意についての参考サイト)。ただし、アダルトゲーム制作会社の場合は、CESAには加盟していないためこの合意の適用外であり、ギャラは声優とその所属事務所との個別交渉で決まるため、ランク制の設定額より数倍は高額になると言われている。
導入初期は声優業界側の各種取り決めは試行錯誤で、担当声優は一切公開されないか、逆に普段使っている芸名のままで公開されることも珍しくは無かった。またアダルトの規制基準が媒体によってまちまちで、媒体ごとに声優を交代させる必要があり、1990年代中期の作品では1キャラあたり4、5人も声優がいるものも存在した。この流れも1999年の法改正(詳細別節)と、ハード間競争がソニーのプレイステーション・プレイステーション2が優勢になったことを受け、1キャラあたりアダルト表現まで請け負う声優と、非アダルトの関連作品を担う声優の2名に大別されるケースが多くなった。
声優名の表記についても日俳連と日本芸能マネージメント事業者協会で取り決めを整備し、「アダルト作品出演については日俳連に登録している以外の芸名で出演することが望ましい」という通達を出したこともあり、現在では多くの声優がアダルト作品に声をあてる場合にはアダルト作用の別の芸名を使用している(または、声優名を非公開とするか)。別の芸名を使う場合、一貫して特定のアダルト用の別の芸名を使う者、作品ごとに複数のアダルト用の別の芸名を使い分ける者など、人によってさまざまである。
現在アダルトゲームではアトリエピーチやイエローテイル(この2社を指してエロゲー界の「桃色黄色」という通称がある)といったプロダクション会社が制作会社に替わって大まかな選考・スケジュール調整を各声優事務所や声優と行う形態が主流で、大抵事務所所属者はグロス単位でオファーが来るケースが多い。起用するゲーム会社も、アダルトゲームに声をあてることができて、かつ能力・条件の合う声優の絶対数がまだまだ少ないのと、キャラクターの性格設定がある程度パターン化されたことも手伝って一部の声優にオファーが殺到する傾向にあり、北都南や一色ヒカルといった人気声優には年間50本以上、中堅声優でも30本前後はオファーが舞い込む。その結果、年間スケジュールの大半がアダルトゲーム関連で埋まってしまう声優も少なくない。
加えてアダルトゲームの場合ノベル形式のアドベンチャーゲームが主流のため、台詞の量がアニメに比して多い。大作では台本はおよそタウンページ2冊前後、メインヒロインではその1.5〜2倍に達する分量があり(ただし、アニメ用と異なり、ゲームスタッフがプリンターとコピー機を駆使して作った簡易製本 [3] であることが多く、単純には比較できない。)、これを一人スタジオに籠って収録(掛け合いによる方式、いわゆるアフレコは行われない)している。また、大半のアニメ作品が1話あたり30分で分割して収録できるのに対して、ゲームの場合スタジオレンタル料との兼ね合いから短期で集中して収録する(1日あたりの拘束時間が長い)ため、ゲームの仕事が入ると他の仕事は取りづらくなってしまう。そのため、ゲームの収録にアニメで成功している声優は呼びづらいという事情もある。
こうした事情の中、歌手栗林みな実が『君が望む永遠』において主題歌の歌唱のみならず、メインヒロインの声優を兼ね、しかもそのことをキャラクターのコスプレ姿で公言したことで業界に一石を投じることになり、さらに榊原ゆい、YURIAといった先に歌手として成功した人物も追随したため、「アダルトゲームによく声をあてる声優は影の存在」という流れは徐々に変わりつつある。もっとも、栗林・榊原の両名についてはマネジメント担当の事務所がアダルトゲームの制作会社と同一法人であったり、アダルトゲーム流通に関係する企業との商業的関係があったという事情も窺え、そのためこの様なスタイルを取ったという一面も見える。従来からの声優事務所に所属している声優についていえば、まだ大勢においては今の所は及び腰であるといえる。
もっと詳しいことは声優の項目の『アダルト(18禁)作品関連の場合』も参照のこと。
歌と音楽(BGM)
現在ではアダルトゲームに、アニメソングと同様の主題歌が付けられることは、ごく一般的になっている。
だし、アダルトゲーム業界の開発チームでは小規模な開発チームが多く、また、アダルトゲーム業界の周囲には音楽製作を請負うプロやセミプロ(音楽同人系)のプロダクションが多数存在することから、音楽は外注を利用するスタイルが広く定着している。そのため、業界全体の傾向として音楽の内製率が低い事は特徴といえる。また、効果音も外注であったり、外部の専門業者から効果音の音声データを購入してくる事はごく普通に見られる。
この業界に関わる音楽制作集団は数多く競合も激しいが、その中でも知名度で頭一つ抜けているのはI'veで、主題歌の編曲を手がけた『Kanon』(Key、1999)の爆発的な大ヒットで注目を集めた。I'veが音楽あるいは主題歌を手がけたアダルトゲームのパッケージにはI'veが音楽を担当したことを表すマークが付けられ、高い人気を誇り、その後、テレビアニメの劇伴にも広く進出している。また、2001年にはkeyのサウンドトラック等を専門に扱うKey Sounds Labelが発足した。他方でも、『吸血殲鬼ヴェドゴニア』(ニトロプラス、2001)では主題歌のボーカルに紅白歌合戦に出場したこともある[4]小野正利を起用するなど[5]、音楽や主題歌に力を入れる動きが顕著になった。また、インディーズで活動している者を中心に、アダルトゲームの主題歌を歌う女性歌手も少なくない。
また、1990年代の音楽シーンには『メタル氷河期』と呼ばれるジャパニーズメタル[6]音楽の著しい市場低迷の時期があり、数多くのヘヴィメタル系ミュージシャンが生活と音楽活動の維持の為にアニメ・テレビゲームなども含む多ジャンルの商業音楽に進出していった、その軽音業界の歴史的な経緯や影響によるものか、アダルトゲームの主題歌を手掛ける音楽集団や音楽担当スタッフには、メタル音楽の経験者やフォロワーが少なからず見られる。その為、ロックよりもかなりハードなドラムやギター、間奏部のメロディカルなギターソロ、重低音重視のミキシングといったヘヴィメタル的な要素がふんだんに盛り込まれた楽曲が珍しくない事も、アダルトゲームの主題歌・BGMの特徴として挙げられる。その中でも特筆すべきはメーカーであるがニトロプラスで、作品によっては歌詞と曲だけ聞かされてもアダルトゲームの主題歌とは到底信じ難い様なハードなメタルテイストの曲を主題歌や挿入歌に据える事も珍しくなく、普段はアダルトゲームとは全く無縁なメタルファンの一部にまでその名を知られる事となった。他方、アダルトゲームの主題歌であるため、メーカーによってはハードでハイテンポな曲に、本項ではさすがに掲載がはばかられる様な性的表現を含んだ歌詞を組み合わせたケースもあり、たとえメタル調のハードな曲であっても歌詞のバラエティという意味では、ラブソングやいわゆる「萌え」に属する歌詞がほとんど見られない本家ジャパメタとは比較にならない幅の広さを持っている。また、先述のニトロプラスのものを例外とすれば、メタルテイストの曲であってもほとんど全ての曲についてボーカル担当が女性である事は大きな特徴である。
アダルトゲームファンの間でI'veが一大センセーションを巻き起こした2000年頃以降は、主題歌CDの初回特典としての添付がこの業界では販売促進策として至極当然のものとなっているが、これについては、多くのゲームに存在する初回特典の有無による価格差や、アダルトゲームでは初回限定版の発売後に通常版が最終的に発売されないケースが珍しくない事などを鑑みた場合、ゲームと主題歌CDの事実上の抱き合わせ販売の商法であるとして指摘する批判も少なくない。また、この様な事情から、1本1万円前後する事も多い初回特典付きゲームソフトの購入以外には正規・合法的に入手する方法が事実上無い、ある意味で「入手困難」と言える楽曲を多数持つ歌手もいる。
アダルトゲームで使用・作成されたBGMは一般向けゲームソフトのゲームミュージック同様、広く地上波テレビ放送各局でも音楽素材として幅広く使用されているほか、主題歌がカラオケ入りすることも珍しくない。ドワンゴが、2005年7月から放送した着メロ配信サイト「いろメロミックス」のテレビコマーシャルのBGMに、『巫女みこナース』(2003年、PSYCHO)主題歌の『巫女みこナース・愛のテーマ』が採用された。更に、同曲は2005年12月27日に第一興商の通信カラオケ「cyber DAM」で配信されている。
他方、アダルトゲームについてメディアミックス企画が立てられ、とりわけ性的要素を排除したテレビアニメ作品として展開される場合には、アニメ音楽を専門範囲とする作曲家が起用される事が多く、同様に主題歌担当の歌手も原作から変更される事が多い。アダルトゲーム作品を担当したスタッフ・外注・歌手がそのまテレビアニメ作品でも劇伴・主題歌を手掛けるケースは、存在こそするものの少数派である。ただし、上述したI'veは後にテレビアニメの劇伴・主題歌の制作にも進出しており、むしろこちらが現在では主業という状況も垣間見られ、アダルトゲームのアニメ化に際しても主題歌などで新規にI'veのスタッフ・歌手が起用されるケースが見られている[7]。
業界
アダルトゲームの、業界事情に関する部分を解説する。
市場規模
直接アダルトゲームの市場規模を調査した例がないため、どの位の市場規模があるのかは不明である。2004年に野村総合研究所が調査した「『オタク層』の市場規模推計と実態に関する調査」によれば、パーソナルコンピューターでゲームをしている層を14万人、市場規模190億円と推計しており、アダルトゲームの市場規模はその内の一部ということになる。2003年の家庭用ゲーム機用ゲームソフトは全機種併せて約1100タイトル、パソコン用アダルトゲームは約600タイトル発売されており、発売タイトル数でいえばコンピューターゲームでもそれなりの数量であるが、売上数は一般的に1万本売れればヒット、3000~5000本がペイライン(損益分岐点)の、映像DVDなどと同程度の規模となっている。
制作会社
アダルトゲームの制作会社は、2009年6月現在233社がコンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)に正会員として加盟している。また、コンテンツ・ソフト協同組合メディア倫理委員会(メディ倫)での審査を行っているメーカーも存在する。メーカーによっては複数のブランを保有しており、およそ600から700ものブランドが現存していると推定される。ビジュアルアーツやテイジイエル企画のパートナーブランドのようにゲームソフト卸や一部のゲーム会社が自社の傘下に入る事を条件に資金援助するシステムが広く確立されており、新規参入に際しては比較的容易で毎年数十のブランドが新たに登場するが、その一方でそれに近い数のブランドが消滅してゆく。
アダルトゲームの制作会社は規模の大小こそあれ、家庭用ゲームの制作会社と比較すればおおむね小規模で、商法上の区分でいえばメジャータイトルを制作するメーカーでも中小企業、大半は従業員10人未満の零細企業である。自社ビルを所有する会社はほんの数社程度であり、マンションの一室を住居兼仕事場にするケースも珍しくない[8]。労働条件については家庭用ゲーム制作会社同様に、ごく一部の例外を除きほぼ一様に劣悪で、福利厚生面も脆弱であると言われている。
狭隘な市場に小規模多数の会社が存在するため売り上げ規模も小さく、ゲームだけでは経営を維持する事は難しく、資金繰りの為に中小企業向けの業務用アプリケーションやウェブデザイン、携帯電話向けソフトの下請け製作など、別のビジネスを行っているメーカーも多く、ゲーム開発チーム名とは異なるブランド名を用意して、こちらを前面に出している所も存在する。 そのため、プロデュースなどと謳われていても実態としては販売代行のみ行い、実際の製作会社は非公開になっているケースや、アダルトゲームの発売に本来の企業名が出ると差し障りが出ると考える家庭用ゲーム機用ソフトの開発チームが、ソフ倫審を通過させて販売する為にOEM製造に近い形式でアダルトゲームを制作して、表に出る側のブランドが委託を受けて審査・販売・広告伝などを担当するケースもある。
制作コストの上昇
アダルトゲームの販売規模はその大半においてコンシューマ機向けのゲームよりも小規模であるが、コンシューマ機向けのゲームと同様に、本格的な宣伝用動画の制作・主題歌の添付・初回特典グッズの充実など様々な要素が要求される様になり、これらが複合的に重なって制作コストやパッケージとしての規模が増大化しており、それら付随的な企画に要するコストや労力もメーカーにとっては負担を増す要因となっている。
2000年代に入ってからは、特に動画・楽曲・音声といった専門的な技術が要求される部分標準的な要素となり、これらの出来不出来が売り上げ本数に影響を及ぼす様になっているが、これらについては内製を行う為の専門スタッフを擁しているメーカーは少数派であり、ほとんどが外注に依存している上、テレビアニメなどに近い水準のものが要求される様になり、製作費用をより肥大化傾向に追い込む要因となっている。このためゲーム販売本数的に成功と言われるものであっても製作費をそのゲームソフト単体では回収しきれないものすら出てきており、利益確保の為にファンディスクなど関連作品の制作や家庭用ゲーム機への移植、キャラクターグッズ販売といった版権利用を展開しているが、それでもトータルでの制作費の増大が経理面から経営に重くのしかかり、ついにはゲームソフトの新規開発を断念・休止するところも現れる様になっている。
品質管理
開発チームが小規模であるためゲーム制作の工程管理が難しいことから、ゲームの発売が繰り返し延期されたり、発売されたゲームに数多くのバグが存在しパッチが発売後に幾度も配布されるなど、品質面での管理能力に疑問を抱かざるを得ない、またその様な事がファンから指摘されているブランドも枚挙に暇がない。
近年はインターネットの普及により修正差分の配布が容易になったことなどもあり、製品品質の維持が疎かになる傾向が見られ、バグの増加も顕著になっており、いまやバグも発売延期も無いゲーム自体が稀になってしまった。バグの内容は様々であるが、動作不能になるなどゲームの進行において致命的な問題を引き起こすのみではなく、中にはインストールの際に誤ってハードディスクの全内容を消去してしまうという深刻なバグを残したまま発売され、不具合が製品回収騒ぎに発展した作品もある。
また、当初予定していたよりも構想が膨らみ過ぎ、シナリオや画像の追加を延々と繰り返すなどした挙げ句、当初発表していた予定時期から年単位での発売遅延が発生するなど、根本的な部分で作品を制作する為の工程管理が完全に破綻しているケースも見られる。
開発スタッフ
小規模な組織が多いゆえに開発チームや人材の離合集散が激しい事は、アダルトゲーム業界の一大特徴である。ブランドの発足・改廃・活動休止も活発であり、さらには人間関係のもつれ・給与遅配など組織内部での問題から突発的に開発チームが独立したり解散する場合も多く、特定のクリエイター個人の動向がブランド・企業自体の存廃までをも直接左右してしまうという事態も起きている。
何らかの理由・目的により開発チームを離脱したクリエイターの中でも、既に人気・知名度を獲得しており、この業界での活動を継続する意志がある者の場合、多くは以下の様な選択肢の中から、自らが置かれた状況に応じて進路を選択する事となる。
- ヘッドハンティングによる他社への転籍
- 自主的移籍
- 自身が中心となる新ブランドの設立・盟友である人物が中心となる新ブランドの設立への関与
- フリーランス(外注)のクリエイターへの転身
- イラストレーターなどとの兼業
この業界の人材の流動の活発さを活かして、特にキャラクター原画・シナリオのスタッフについてはフリーランスのクリエイターとして業界を渡り歩く者も多い。その中でも特に人気の高い原画担当者については、その関与がゲームソフトやゲーム関連雑誌、さらにはメディアミックス情報誌、ライトノベル(挿絵を担当)などの売上向上に大きく寄与するため、イラストレーターとしても引く手数多という状態になることも珍しくない。
人気を博した者がフリーランスのイラストレーターやシナリオライターとして独立してしまうケースも見られる。また、副業を行うスタッフがメーカーの経営者や幹部である場合などには、自らの直接の収入ではなくメーカー経営の一助として行っている場合も見られる。
背景画については、アニメ背景を主業とする下請けプロダクションがアニメ業界における同業者の乱立などを背景にアダルトゲーム業界にも進出してきている事と、人物を魅力的に描ける原画担当者であっても背景画の技術が伴っていない事が少なくない事から、近年では外注での制作が当たり前になってきている。また、I'veやfeelなどアダルトゲームの音を外注として手掛ける製作集団が台頭し、音楽専門のスタッフが専属として在籍しているメーカーは中堅以下では少なくなっており、在籍していても実際には幹部社員やプロデューサーなどとの兼職である事も見られる。効果音についても外部の専門業者からの素材調達がごく当たり前になっている。
アダルトゲーム業界のクリエイターについては、原画担当の場合には漫画家やイラストレーター・アニメーターに、シナリオライターの場合はライトノベルやジュブナイルポルノの小説家、雑誌や書籍のライター、あるいはアニメの脚本家などといった文筆業に転業したり、転業を試みた、また完全に転業しなくともこれら分野で仕事をするケースが見られる。特に商業出版でもライトノベルやメディアミックス情報誌など青年層以下を対象とした分野の出版物では、現在ではアダルトゲームの業界を経験した人物はさして珍しいものではなくなっている。これらの中には、ライトノベル関係の仕事などを足掛かりにして、非アダルトの分野へとクリエイター活動の軸足を移してゆく者も少なくないが、かなりの割合でいわゆる萌え産業の範囲内にその身を置く事になる(萌え産業の範疇から脱出した非常に稀有な例としては、最終的に一般文芸の小説家として認知されている山田桜丸(現:桜庭一樹)が存在する)。
その一方、商業出版での創作活動について回る様々な制約や規制を嫌った者や、あるいはゲーム産業よりも日程管理の厳しい商業出版の世界への適応ができなかった者、元々から同人の分野で大々的に活動しており、そちらでも高い知名度と人気を持っている者の一部には、メジャーシーンの商業作品とは一線を画した、俗に『プロ同人』と呼ばれる、コミックマーケットなどの同人イベントや、同人ショップによる同人誌・同人ソフトの委託販売などに活路を求めるケースも見られている。
メディアミックス
アダルトゲームの、メディアミックス展開に関する部分を解説する。メディアミックスの手法としては家庭用ゲーム機への移植、アニメ化、ノベライズ、コミカライズ等がみられる。メーカーにもよるが、ゲームソフト開発資金の調達のために、関連グッズや各種メディアミックス展開の諸権利を、資金を供給するゲームソフト卸の企業などへ、開発の初期段階から譲渡しているものも珍しくない。最近では人気原画家が関与し、そのネームバリューで一定数の販売を確実に見込まれている作品などで、ゲーム発予定日の数ヶ月前という販売見通しも定かではない段階から、アニメ化を含むメディアミックス企画案が持ち込まれる(メディアミックス業界側から見れば、いち早い段階でその権利を確保しておく)ケースも珍しくなくなっている[9]。
アダルトゲームと家庭用ゲーム機との関係
アダルトゲームとしての移植
家庭用ゲーム機において、性表現のあるアダルトゲームの制作は原則的に禁じられている。これは山内溥が社長だった任天堂の家庭用ゲーム機ファミコンの全盛時代に、同社のライセンスを取得しない裏ソフトの撲滅について定めた自主規制が基盤となっている。
当時はマイコンと呼ばれていたパソコン用アダルトゲームの制作・販売を行っていた光栄(現 コーエー)やエニックス(現 スクウェア・エニックス)などがそれをやめたのも、当時の任天堂の方針に合わせたためという説がある。任堂はパソコンを含む家庭用ゲーム機でアダルトゲームの制作を行っているメーカーの参入を一切認めず、ファミコンへの参入にあたってはアダルト要素を含むゲームの制作をパソコンなどでも行わないことを条件にしていたといわれている。
後継機スーパーファミコンや携帯ゲーム機ゲームボーイなどではグラフィック表現が向上したことなどからいくつかの移植作も存在するが、『ゲーム批評』のような雑誌のインタビューなどから、ギャルゲーを質の低い作品が多く家庭用ゲームソフト全体の質を大きく下げた元凶と見なしており、任天堂の家庭用ゲーム機向けの移植はあまり行われなかった。しかし社長が岩田聡に交替した後は従来の方針を変えつつある(詳細は任天堂を参照)。
一方、NECは過去の任天堂とまったく逆のスタンス、すなわち「ハードウェアが売れるならばソフトの質は問わない」というものであった。そのためNECが発売していたPC-FXでは一時期アダルトゲームの制作が認められていたことがあり、過激な性的表現を抑え、レーティングを「18禁X指定」とした上で『同級生2』(1996年・NECアベニュー)、『Pia♥キャロットへようこそ!!』(1996年・カクテル・ソフト、PC-FX版は翌年自社発売)などが移植された。
アダルトゲームのコンシューマ移植
NEC以外でも家庭用ゲーム機への移植は盛んである。セガはNEC同様、アダルトゲームに大幅な規制をかけなかったこともあり、『野々村病院の人々』(1996年・エルフ)が「18禁X指定」で移されたが、規制の強化によって、性表現をさらに薄くした「18歳以上推奨」というレーティングに移行して『同級生if』や『下級生』といった作品が「セガサターン」に移植された。『ファミコン通信』の初年度の集計で『野々村病院の人々』が32万本、『下級生』が25万本、『同級生if』が22万本の売り上げを記録している。
セガサターンと同時期の家庭用ゲーム機の雄、SCEのプレイステーションへの移植にあたっては「ソニーチェック」と呼ばれる程のCGなどの表現に対する厳しい規制があり、アダルトゲームの移植作はほとんどなかった。この状況は『同級生2』(1997年・バンプレスト)、『To Heart』(1999年・アクアプラス)によって変化することになる。性的描写をすべて排除し、ノンアダルトのギャルゲーとして売り出すことでプレイステーションへの移植を果たした。
以後「原作のゲームと同一タイトルをつけることを認めない」というルールが制定され、著作権表示に元のブランド表記がない作品が多いという制約はあったもの、アダルトゲームのギャルゲー化は作品の販路拡大・メディアミックスの手法として定着していくことになるが、単に家庭用ゲーム機に性的表現を盛り込むことを放棄したともいえ、アダルトゲームとギャルゲーとの境界線があいまいになっていく。
プレイステーション2主流の時代には、タイトルは過去に他のハードウェアに移植されていいタイトルでもサブタイトルが付いている程度(ともとサブタイトルがあるタイトルでもサブタイトル部分が変更されている)であり、原作者表記についてはブランド名でなく法人名が表記されていたケースがあったが全般的なものではなく、プレイステーション時代に比べれば緩和されている。中にはパッケージ裏に原作者のロゴが表示されているものも存在するほどである。
だが過去の規制の名残でプレイステーションでもタイトルが完全に変わっている作品があるほか、表面上他機種からの移植といえる状況が発生しなくなった今日ではWindows版と同名で発売されるケースはない。プレイステーション2の後継機プレイステーション3での移植作は、現状ではアクアプラスから『WHITE ALBUM 綴られる冬の想い出』の発売が予定されている程度にとどまっている。プレイステーション2のシェアが大きく衰退している現在でも開発費の問題からプレイステーション2向けにリリースされるケースはあるものの、これらは減少傾向にあり、最近ではプレイステーション・ポータブルやマイクロソフトのXbox 360で展開するケースが主流になりつつある。
同時期のゲーム機、セガのドリームキャストは規制を早い段階にCEROのものに合わせたこともあり多数移植され、本体の生産が終了した後もしばらくは移植作品が発売され続けていたほどである。しかし、SCEの規制がCEROレーティングにある程度準拠したことなどによりドリームキャストへの存在意義が薄れ、ドリームキャスト版の販売は終息に向かった。末期ではドリームキャスト版もサブタイトルが付くなどしてWindows版とタイトル異なるケースもあった。
移植と逆移植
アダルトゲームのギャルゲー化により、家庭用ゲーム機用のギャルゲーが逆にWindows版に移植されるようになった。単純にWindowsにエミュレートしただけの作品もあるが、中にはギャルゲーをアダルトゲーム化して売り出す作品も存在する。『6インチまいだーりん』(1998年・KID)が翌年にあいりゅによってアダルトゲームとしてWindowsに移植されたのが最初と考えられるが、原作自体の知名度の低さもあって一般化しなかった。その後も幾つか在ったが、CEROの15歳以上対象のギャルゲーで発売された『ToHeart2』(2004年・アクアプラス)を翌年にアダルトゲーム化したWindows版の『ToHeart2 XRATED』(Leaf)が発売されて広まっていく。ただし、その半数はアダルトゲームメーカーがギャルゲーを作った物であり、アダルト化移植は時間の問題と言った意見もある(Leafはアクアプラス内のブランド名)。また家庭用ゲーム機に移植する際、パソコン版所有者への売りの為に追加したキャラクターに性的描写を加えた上で逆移植するといった作品もある(むろん逆もある)。
一方でアリスソフトのように、ほとんどの作品で性的な要素がゲーム内の根幹部に関わっており、ちょっとした改変によるギャルゲー化はコンセプト的に不可能という作品を作り続けているメーカーもある。もとより強姦魔が主役の陵辱系作品や、性行為以外やる事の無い作品(所謂抜きゲー)では、非アダルトゲーム化は不可能である。また成年向けということから、人種・部落差別や過激な右翼、麻薬や人身売買などの時事をストーリーに取り入れた作品は少なくないが、これも倫理上問題があるとして不可能とされる。
OVA・テレビアニメなどの映像作品
歴史
アダルトゲームのテレビアニメ・OVA化は積極的に実施されている。
アダルトゲームのアニメ化自体は1990年代の初頭から細々と行われていたものの、アニメ化作品でヒット作といえるだけのセールスを記録した最初の作品は、原作ゲーム自体もやはり大ヒット作であった1994年の『同級生 夏の終わりに』(ピンクパイナップル)であった。この頃は家庭用ゲームへの移植が当初はアダルト色を何とか残しつつ行われたのと同様、R指定(15禁)ないし18禁のアダルトアニメで、レンタルビデオ店向けのアダルトビデオの一種として製作され、後にOVAとして販売されていた。
この流れが変わり始めたのは『エルフ版 下級生 〜あなただけを見つめて…〜』(1997年、ピンクパイナップル)で、性的描写の存在するR指定と、存在しない全年齢版の2種類が製作された。その後、1996年にアダルトOVAとして製作された『同級生2』(ピンクパイナップル)が、1998年に性的描写の全カット・話数追加をして再編集の上、初めて地上波のテレビアニメとして放映された。
初めから性的描写を除外した全年齢向けアニメとして企画された端緒は、『同級生2』のテレビ放送と同時期にテレビ東京で放送された『Night Walker -真夜中の探偵-』である。その後、1999年に『To Heart』が放送されたが、これはプレイステーション移植版のギャルゲー化された作品を直接の原作と位置づけていた[10]。以降は、ギャルゲーとしてコンシューマゲーム機にも移植可能、あるいは移植されたストーリー重視型や、性的描写を廃しシナリオを修正すればギャルゲーとしても成立可能なタイプの作品がテレビアニメ化されている。多くは独立UHF局などで放映されるUHFアニメである(このことについて詳しくはUHFアニメの項を参照)。
ローカル局以外では全国放送のWOWOWや、TBSのデジタル衛星放送BS-iがこの種のアニメの放映に比較的寛容である。例外的に在京キー局で放送された作品としては『Kanon』(2002年、東映アニメーション)がある。
2005年1月からボーイズラブ系(女性向け)のアダルトゲームからアニメ化された作品としては最初のものとなる、『好きなものは好きだからしょうがない!!』(プラチナれーべる、2000年)がUHFアニメして放映され、これに追随する形でアニメ化された、あるいは企画中のボーイズラブ系原作の作品が見られている。
アダルトゲーム原作作品を非アダルト作品に大幅なアレンジを施してのテレビアニメ化が多数進められる様になった背景としては、コンシューマーゲーム機へ移植される作品が増加する中、アニメ化の素材としてこれらの作品に着目したアニメ製作会社と、メディアの大容量化を背景とした大作化傾向や、複数ヒロインによるマルチシナリオ・マルチエンディング、他にも豪華な初回特典などが事実上必須になり開発費・関連経費の昇に歯止めが効かない現状の中で、経営を安定させる為の収益チャンスや自社作品・自社ブランドのPR機会の拡大を模索していたゲーム制作会社と、双方の利害が一致したというところが大きな要因として挙げられる。
また、アニメ業界側を見れば、制作プロダクションの乱立とすらいえる増加と、それに伴って生じたコミックやライトノベルの人気作品のアニメ化の権利獲得をめぐる競合の激化、それ以外にも近年のコミック・ライトノベル業界全体の体質的な変化で、低予算アニメ化には適さない複雑難解な作品にヒット作が偏っている現状や、自社企画によるオリジナルアニメ作品全般の不振などといった要素があり、アニメ業界にとって「低予算アニメ作品に適し、期待値が高い」という意味で良質なコンテンツの不足が常態化しているという一面も見逃すことはできない。
時として原作スタッフの意向を無視する形で、有力なアニメプロデューサーなどの製作委員会内部で強い発言力を持つ者が、自身の組織や人脈に連なるスタッフや声優ユニットなどを優先に投入する事などもみられ、その結果として、行われたメディアミックス展開の内容[11]に対して、違和感を覚えた原作ファンのみならず原作の関係者からも反発や批判がなされ、物議を醸すものも見られている。
一方、性的描写をメインとしているため家庭用ゲーム機への移植やテレビアニメ化が不可能な(または一般向けのメディアミックスが望めない)作品についても、アダルトアニメでのOVA展開は続けられており、レンタルビデオ向けなどを中心に一定規模の市場が構築されている。また、ディアミックスに対して消極的な姿勢を取っていた保守派ブランドの筆頭格ともいえるアリスソフトも、2002年頃より自社作品のOVA化を許諾する姿勢をみせている。
OVA・テレビアニメ以外の映像作品
2002年に『Piaキャロットへようこそ!!3』(2001年、F&C)、2005年に『AIR』(2000年、key)が劇場アニメとして上映された。こちらは共にアダルトゲームを直接の原作にしながらも性的描写はカットされている。
正反対に『夜勤病棟』(1999年、ミンク)は実写のアダルトビデオ化されている(この他アダルトOVAも存在する)。
しかしながら、コストや収益性、メディアミックス効果の実効性などで課題があり、どちらもメディアミックス展開としてはごく少数の例外といえる。
漫画・小説等書籍
アダルトゲームを原作にしたノベライズ作品は多数刊行されている。
大半はジュブナイルポルノと呼ばれるジャンルに属する官能小説で、多くは新書判で刊行されている。その一方で、一部ではあるが性的要素を排除するなど大幅なアレンジを加えたノベライズもあり、こちらはライトノベルのレーベルから刊行されている。ジュブナイルポルノの場合、ゲームのシナリオライターと原画担当者がそのまま本文と挿絵を担当する場合が多い。対照的にライトノベルの場合、本文ではかなりの割合で、挿絵についてもある程度の割合で、出版社と繋がりのある別の若手作家が起用される。そのため、ライトノベル化作品では雰囲気が大きく変わることも珍しくない。
コミカライズも一部にみられるが、これについてはテレビアニメとのタイアップであったり、あるいはテレビアニメ化に向けたファン層の動向調査を兼ねるなど、大半が何らかの別のメディアミックス企画やその構想に深く関連しており、性的要素を排除した形で雑誌掲載、単行本化されている。この場合、大半のケースでコミカライズ担当の漫画家が起用され、原作ゲームの原画担当者自身が漫画を作画することはあまり見られない。その為、ライトノベル化と同様、コミカライズで作品の雰囲気が大きく変化する事は別段珍しいものではなく、原作の原画担当者の人気がカリスマ化している場合などに、原作ファンの間で物議を醸す事もよく見られる。
ただし、ゲームメーカーの意向として、ノベライズやコミカライズの担当者の個性・才能を期待して裁量を大きく与えたり、ゲーム側を『正伝』、出版作品側を『外伝』などと位置づけて、意図的に雰囲気を変えさせているケースも存在している。このため、作品の雰囲気が変化する原因については、一概にノベライズ・コミカライズ担当者の技量不足とばかり決めつけることはできない。
関連項目
脚注
- ^ P-mate編集部「「子どもの権利」を守るため… ~「エクパット/ストップ子ども買春の会」の活動とビジョン」、『P-mate』第5巻第1号、MCプレス、東京、2003年1月、136-137、2010-03-03 閲覧。
- ^ カスパルは2006年春にNPO法人の資格そのものを返上して、任意団体となっている。
- ^ 恋純ほたる (2008-11-13). "マジスキ 台本印刷中" (日本語). アキバBLOG. 2009-03-22 閲覧。
- ^ "PROFILE" (日本語). 小野正利公式サイト. 2010-03-03 閲覧。
- ^ "music" (日本語). ニトロプラス公式サイト 「吸血殲鬼ヴェドゴニア」関連音楽商品. ニトロプラス. 2010-03-03 閲覧。
- ^ ジャパメタ・和製ヘヴィメタルなどとも呼ばれる。
- ^ 例としては『ななついろ★ドロップス』のオープニング主題歌など。
- ^ 例えばハムハムそふとの開発室は4畳半だったことがある。"はむはむ・新・開発室ご案内!" (日本語). 未開発のあな はむ通ONLINE. はむはむソフト. 2010-03-03 閲覧。 “引用文”
- ^ この様なソフト開発中の段階でのメディアミックス展開の決定を、ゲーム制作者側が公表した例としては、『君が主で執事が俺で』(みなとそふと、2007年)などがある。
- ^ 『To Heart』のアニメ作品においては、アクアプラスのアダトゲームブランドであるLeafの名が出される事はなく、原則としてコンシューマ機版にLeafの名義は用いられない。
- ^ アニメ作品の品質、声優の人選・起用、情報の露出方法など。
参考文献
- 「東大オタク学講座、講談社刊・岡田斗司夫著 <ISBN 4-06-208292-6>
- 「萌え萌えジャパン」、講談社刊・堀田純司著 <ISBN 4-06-364635-1>
- 「趣都の誕生 萌える都市アキハバラ」、幻冬舎刊・森川嘉一郎著 <ISBN 4-344-00287-3>
- 「季刊 アニメ批評」1999年夏号 マイクロデザイン出版局刊
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