強盗致死傷罪
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詳しい解説
| この項目は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
| 強盗致死傷罪 | |
|---|---|
| 法律・条文 | 刑法240条 |
| 保護法益 | 生命・身体 |
| 主体 | 人 |
| 客体 | 人 |
| 実行行為 | 財物の強取 |
| 主観 | 故意犯 |
| 結果 | 結果犯、侵害犯 |
| 実行の着手 | 生命侵害の現実的危険を惹起した時点(強盗殺人の場合に限る) |
| 既遂時期 | 死傷の結果が生じた時点 |
| 法定刑 | 無期又は7年以上の懲役(致傷)、死刑又は無期(致死) |
| 未遂・予備 | 未遂罪(243条) |
| 日本の刑法 |
|---|
| 刑事法 |
| 刑法 |
| 刑法学 · 犯罪 · 刑罰 |
| 罪刑法定主義 |
| 犯罪論 |
| 構成要件 · 実行行為 · 不作為犯 |
| 間接正犯 · 未遂 · 既遂 · 中止犯 |
| 不能犯 · 相当因果関係 |
| 違法性 · 違法性阻却事由 |
| 正当行為 · 正当防衛 · 緊急避難 |
| 責任 · 責任主義 |
| 責任能力 · 心神喪失 · 心神耗弱 |
| 故意 · 故意犯 · 錯誤 |
| 過失 · 過失犯 |
| 期待可能性 |
| 誤想防衛 · 過剰防衛 |
| 共犯 · 正犯 · 共同正犯 |
| 共謀共同正犯 · 教唆犯 · 幇助犯 |
| 罪数 |
| 観念的競合 · 牽連犯 · 併合罪 |
| 刑罰論 |
| 死刑 · 懲役 · 禁錮 |
| 罰金 · 拘留 · 科料 · 没収 |
| 法定刑 · 処断刑 · 宣告刑 |
| 自首 · 酌量減軽 · 執行猶予 |
| 刑事訴訟法 · 刑事政策 |
強盗致死傷罪(ごうとうちししょうざい)は刑法240条で定められた罪。「強盗が人を負傷させたとき無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」と規定されている。236条の強盗罪の加重類型である。未遂も処罰される(243条)。
目次 |
犯罪の主体
本条にいう「強盗」とは、238条(いわゆる事後強盗罪―窃盗犯が財物を得て、取り返されたり逮捕されたりするのを恐れて暴行や脅迫をしたとき)や239条(昏酔強盗罪)も含める(大判昭和6年7月8日刑集10巻319頁)。
主観的要件
強盗傷人罪・強盗殺人罪
刑法上、強盗致死傷罪には長い刑期が設定されており、特に死亡の結果が発生した場合は死刑又は無期懲役という重罰が規定されている。これは刑事政策上の理由によるものとされる。また、この法定刑の重さから、強盗の結果的加重犯の場合(前段の犯罪については強盗致傷罪、後段の犯罪については強盗致死罪と呼称される)のみならず、負傷または死亡の結果につき行為者に故意があった場合(それぞれ強盗傷人罪、強盗殺人罪と呼称される)も240条のみが適用されると考えるのが判例・通説である(大連判大正11年12月22日刑集1巻815頁)。この説に立てば殺人罪(199条)や傷害罪(204条)は適用されないことになる(法条競合)が、これらと観念的競合になるという有力説も存在する。
暴行の故意
本罪が成立するためには、少なくとも暴行の故意が必要だとする説もあるが、判例・通説は、暴行の故意が無い場合(脅迫の故意しかない場合や、強盗の機会に過失により死傷の結果を発生させた場合等)にも成立すると解する(最判昭和24年3月24日刑集3巻3号376頁)。
強盗の機会
傷害ないし死亡の結果は手段となった暴行等によるものだけでなく「強盗の機会」に発生したものすべて含まれると考えるのが判例・通説であるが、広汎にすぎ処罰範囲を限定すべきと考える有力説も存在する。
事例
- 強盗の手段である脅迫によって被害者が畏怖し、ために傷害が発生した場合にも強盗致傷罪が成立する(大阪高判昭和60年2月6日高刑38巻1号50頁等)。
- 通行中の女性のハンドバッグを奪取する目的で、自動車を運転して女性に近づき、ハンドバッグの提げ紐を掴んだまま自動車を進行させ、女性を引きずって路上に転倒させたり、車体に接触させたり、あるいは道路わきの電柱に接触させたりして傷害を負わせ、結局ハンドバッグを奪取したときにも強盗致傷罪が成立する(最決昭和45年12月22日刑集24巻13号1882頁)。
既遂・未遂
本罪の未遂とは強盗が未遂の場合であると解する説もあるが、判例・多数説は強盗が未遂でも強盗傷害罪は成立する(既遂になる)としている(最判昭和23年6月12日刑集2巻7号676頁)。そして、結果的加重犯には未遂犯が直接的には存在しないこと、及び傷害の未遂は暴行であり(傷害罪を参照)、傷害未遂なるものは存在しないことから、判例・通説によれば、本罪の未遂とは強盗殺人罪において殺人が未遂に終わった場合、すなわち強盗殺人未遂罪のみを指すことになる。
罪数に関する判例
- 窃盗犯人が逮捕を免れるため、追跡してきた警察官に対して暴行を加えて傷害を与えた場合、強盗致傷罪と公務執行妨害罪は観念的競合の関係に立つ(大判明治43年2月15日刑録16輯236頁)。
- 一個の強盗行為の際、その機会に数人を殺害したときは、被害者の数だけ強盗殺人罪が成立する(大判明治43年11月24日刑録16輯2121頁)。
平成16年改正
2004年に刑法の一部が改正される前は、前段の法定刑は「無期又は七年以上の懲役」であったが、改正により冒頭のように変更になった。改正前は酌量減軽(刑法66条、68条)しても下限が3年6月であり執行猶予を付けることができなかったが(25条)、改正により酌量減軽後の下限が3年となり執行猶予を付けることが可能となった。
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