いすゞ・TXについての最新情報、関連する画像や動画を紹介。(出典:Wikipedia)
TX(ティーエックス)は、いすゞ自動車が1947年~1970年(消防車向けは1979年)にかけて製造・販売していた3.5~6.5t積みトラックである。
なお、ここでは1947年以前のTXを取り巻く状況と、1970年以前のいすゞ中~大型トラックを紐解く意味を踏まえてT*系全てについても記述する。
目次 |
TX以前
東京石川島造船所 自動車部~石川島自動車製作所 時代
- 1916年(大正5年) 東京石川島造船所は自動車製造の調査を開始、伊フィアット車と英ウーズレー車の研究の後、翌年ウーズレー自動車と提携。
- 1922年(大正11年) 苦労の末に国産ウーズレーA9型乗用車が完成。しかし輸入車に苦戦し、翌年の関東大震災で深川工場は壊滅的な被害を受けA9型製造は打切られてしまう。
- 1924年(大正13年) ウーズレーCP型1.5トン積トラック発売。水冷直4のCP型3.1Lガソリンエンジン26psを搭載。全長5.41m/軸距3.66m/全幅1.83m/全高2.25m。関東大震災後復興時期の米フォード/GM製等外国車攻勢に対抗するための法案「軍用自動車補助法」の適用[1]を受けた石川島製初のトラック。
- 1927年(昭和2年)英国ウーズレー自動車との提携解消。翌年のL型トラックから車名が「すみだ」になる。
- 1929年(昭和4年)石川島造船所から分離独立し、石川島自動車製作所となる。同年独自の新エンジンA4型とA6型、及びA6搭載のL型を元にチェーン駆動の後軸を追加したオフロード用6輪車を開発。軍需用名称はスミダ六輪自動貨車。これはASW型、BSW型を経て後車軸ウォームギヤ駆動としたP型で完成した。これは後にエンジンをいすゞX型に換装し、傘歯駆動等の軽量化をしたS型へと進化する。
1945年以前のTX
TX及びそれを取り巻く状況
- 1931年(昭和6年)昭和恐慌下の日本でノックダウン生産を始めていた外国車勢に価格的にも太刀打できず石川島を含む国産3社[2]は経営的に苦しい状況が続いていた。そこで国産自動車工業確立調査委員会[3]が設置され、国産各社トラック[4]が性能試験を受け分解検査を行った結果、3社協力して基本車種を造りそれを商工省標準形式自動車とする事となった。設計は鉄道省(島秀雄)がシャーシとボディ内外装、石川島はエンジン(同年スミダX型ガソリンエンジン完成)、ダット自動車製造はトランスミッション、東京瓦斯電気工業は車軸系を担当し、トラック系TX35/40[5],バス系BX35/40/45[6]の試作が3社分担で開始される。これが後の「いすゞ」となる。
- 1932年(昭和7年)石川自動車製作所とダット自動車製造が合併し自動車工業株式会社となる
- 1933年(昭和8年)自動車工業株式会社と東京瓦斯電気工業株式会社自動車部共同出資の販売会社が発足し協同国産自動車株式会社となる。同年TX40型2t積(オンロード/ダート用)と、TX35型1.5トン積み(オフロード用)トラックを発売。どちらも水冷直6・4.39LガソリンエンジンGA40型65ps搭載。全長6.64m/軸距4m/全幅2.19m/全高2.11m。一方のバスはBX35が16人~20人乗、BX40が21人~29人乗、BX45が25人~33人乗という仕様。この年社長の加納友之介が国情を鑑み、当時欧州でも研究が著についたばかりのディーゼルエンジンの研究会を発足させる。
- 1934年(昭和9年)商工省標準形式自動車を「いすゞ」と命名。同年TX系派生6x4のTU10型が日本陸軍初の国産制式トラック九四式六輪自動貨車[7]として採用される。全長5.4/軸距?m/全幅1.9m/全高2.25m。後にディーゼルエンジンも搭載され、ガソリン車を甲型、ディーゼル車を乙型と呼んだ。(軍需型はテストや精度の検査基準が厳しく信頼性は高かったが、コストは民間型トラックの3倍以上かかった)。また4x4トラックのVA型が完成する。
- 1937年(昭和12年)自動車工業株式会社と東京瓦斯電気工業(協同国産自動車株式会社含む)が合併し東京自動車工業株式会社となる。同年TX40改良 4t積み72ps 軸距は4mのまま。更に軍用幌型ボディと34x2タイヤを施し九七式自動貨車として陸軍に正式採用される。
- 1938年(昭和13年)川崎製造所(後の川崎工場)第1号車、TX40型トラックがラインオフ。同年九四式トラックをベースにした4x4モデルの試製四輪起動貨車が造られ、翌年から過酷な走行研究が始まる。またDA30型空冷V12ディーゼルエンジンが造られる。
- 1939年(昭和14年)ディーゼルエンジンDA40型(水冷直6・5.1L)が量産化。軍用トラック用統制エンジンとなる。同年、三菱重工、池貝自動車、神戸製鋼、新潟鉄工と共同出資によりヂーゼル機器(後のゼクセル)を設立。
- 1940年(昭和15年)TX40を元にDA40型ディーゼルエンジンを搭載したTX50型を発売。
- 1941年(昭和16年)東京自動車工業株式会社から「ヂ-ゼル自動車工業株式会社」[8]と改称。DA40をベースに4気筒にしたDA70型が造られPK50型九八式四輪起動乗用車乙に搭載された(甲はJC型を経てPK10型となる)。更にボアストロークを拡大したDA60型(水冷直6・8.55L)の開発を開始。同年TX40積載量拡大を目的に車軸強化等を施したTX80型を一式四輪車甲、同ディーゼルエンジン搭載TX60型を一式四輪車乙として陸軍に正式採用された。同様にTU10/20型6x4系にも軸距4m化等の積載量拡大が施されTU30型(ガソリン)とTU50型(ディーゼル)が一式六輪貨車甲/乙として先行採用。同時にテストされ後にTU80型が一式六輪貨車改良型甲、TU60型が同乙型として正式採用される。
- 1942年(昭和17年)DA10型空冷ディーゼルや装軌車両の生産規模を拡大する為日野製造所を分離、日野重工業(株)設立。同年積載量を拡大した7t積みのTB60型(全長7.8m/全幅2.3m/DA60型(ディーゼル8リットル統制型)110ps搭載)が二式大型自動貸車として陸軍正式採用、同系大型バスシャーシモデルのBB60型も発売される。また6x6トラックのTG10型が試作されたが、試製四輪起動貨車の研究結果から4x4のTC20型が二式四輪起動貨車として正式採用された。
- 1943年(昭和18年)20t積み大型ダンプカーTH10型発売。軸距4.2m、DA60搭載。同年陸軍から戦時規格簡素型トラックの試作が命じられ、即製A案[9]に対しTB60型で対応。
- 1945年(昭和20年)8月にB-29の波状攻撃を受け機械工場が爆撃を受ける。
同時期に造られたTX系以外の生産車両
- これら戦前戦中の軍用トラックは補給、砲牽引、防空(気球偵察/聴音/照空)、通信、衛生、半装軌、装甲等さまざまな軍用架装を施され派生型の元となった。また軍用特殊車両としては、TA型九二式五屯牽引車(民間初の装軌車)、TB型九二式軽戦車(C6型空冷直6ガソリンエンジン45ps搭載)、TD型試製水陸両用戦車、TF型九四式四屯牽引車(全装軌)、ZB型九八式四屯牽引車、ZA型/KA10型/九八式六屯牽引車、CA80型九八式装軌貨車、ZK20型100式鉄道牽引車などが造られた。
- 一方民需向けは、PD型/PE型/ZF10型鉄道工作車、TG型/CA40型装軌自動車、WA型トラクター、ZF20型移動修理車、TC10/20四輪駆動車、ZS10型除雪車、H型/PA10型大型乗用車などがあった。
補足
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TX系(戦後モデル3.5~6.5t積み)
- 1945年 終戦後GHQ統制下、日本全体で1500台/月生産制限の中、TX40やTU80を生産。
- 1946年 TX80 TX40の荷台拡張型 5t積みガソリンエンジントラック 85psを発売。ディーゼルエンジンは資材不足により生産出来ず。
- 1947年 TX61 6t積みディーゼルトラック。DA43型85ps搭載を発売。これがヒット商品となる。
- 1949年 ヂ-ゼル自動車工業株式会社から「いすゞ自動車株式会社」に商号変更。
- 1950年 TX30カーゴトラック 特需で大量生産される。同年エンジンもDA45型90psに改良。これは後にDA110型となる。
- この頃ヘッドランプがフェンダー埋込みとなり、バンパーに沿った3本メッキグリルとなる
- 1953年 エンジン改良DA48型5.65l,100ps。これは後にDA120型となる。
- 1956年 TX531 5.5t積み
- 1957年 TX352 6t積み
- 1959年 TXD50/TXD70E キャブオーバーモデル追加 (この頃よりディーゼルはTXD、ガソリンはTXGとなる)
- この頃ボンネットがモデルチェンジ、フラッシュサイド的造形となりエンジンリッドも上開大型一枚となる
- 1962年 この頃キャブがモデルチェンジ。丸屋根・前窓2枚平ガラス→平屋根・曲面1枚窓*1963年 ヘッドランプ4灯に伴いグリルも変更となる
- 1966年 TY20/30/40 3人乗セミキャブ4t車 直6・D370型100ps/D400型102ps/搭載 この系統は後のTR型フォワードへ引き継がれる
TS/TW系(全輪駆動系)
- 1950年 TX21 6x6 全輪駆動の警察予備隊仕様。TH10タイプのボンネットキャブ。
- 1951年 TW11/21 6x6 6輪駆動モデル。11はディーゼルで21はガソリン(翌年のTSも同様)
- 1952年 TS11/21 4x4 4輪駆動モデル。このボンネット~キャブボディだけ載せたTX-W型も後で追加される→後の'63TXD-A型
航空自衛隊2トン半トラック
- 1960年 TS*542/543 4x4 4t積が542,5t積が543。*はDがディーゼル、Gがガソリンとなる。
- TW*542 6x6 6t積
- 1963年 TSD40 4x4 5.5t積
- TWD20 6x6 6t積
- この系統は後のSKWやC*W/**S系全駆車へ引き継がれる。
- 1986年 HTS/HTW(TSD/TWDの最終型)
- バスボディを架装したTS系は こちらを参照
TD/TP他系 (7.5t積み以上)
- 1959年 TD151 軸距4.8m 8t積み DH100型を搭載。同時に発売されたBC151とコンポーネントが共通化されている。TD141は軸距4.2mの7.5t積み
- 1961年 TD147E 8t積み キャブオーバーモデル追加 後のTD70E(末尾のEがキャブオーバーを示す)
- 1962年 TP系後2軸10t積みモデル追加
- 1966年 TP81E/91E TP系改良型
- この頃のカタログDATA
- TD161 新型ボンネットキャブ 8t積み 190ps 軸距4.9m 荷台長5m→後の'63TD70型
- TD50-D型 7.5t積み TD161をベースとしたTS型ボンネットキャブモデル
- この頃のカタログDATA
- 1967年 TM-E E110型11L・215ps搭載の11.5t/12t積み発売。同年D920型9.2L・175psエンジンはTD/TPに搭載。
- 1968年 大型キャブオーバー車フルモデルチェンジ。DH100型改良195ps
- 1969年 TV型トラクタ V170型16.5L・330ps搭載モデルとTG系 前2軸 10~11.5t積み発売
- この頃のカタログDATA
- TP70/80E 10t積み6x2
- TM-E 12t積み
- TG-E 前2軸 12t積み
- TV-E セミトラクターヘッド
- この頃のカタログDATA
- この系統は後のニューパワーシリーズへ引き継がれる。
その他
- 1957年 エアサス式トラクター
参考文献
- 国産トラックの歴史グランプリ出版 ISBN 4-87687-276-7
- モータービーグル
- カタログ
- 自動車事業40年 三宮吾郎伝 1959年
- 軍用自動車入門 光人社 ISBN 4-7698-2267-7
- 国産車100年の軌跡 三栄書房 1978年
- 日本のトラック・バス いすゞ編 ISBN978-4-89522-494-9
関連項目
- 五十嵐平達
- いすゞ・BX :TXベースのバス
- いすゞ・ニューパワー :TD/TPの後継
